オルカンは投資信託とETFどっちを選ぶべき?
このような悩みに答えます。
- 投資信託・ETFとは?
- 投資信託とETFの違い
- オルカンは投資信託とETFどっち?
- オールカントリー投資信託とETFの比較
- おすすめのオールカントリー投資信託
- おすすめのオールカントリーETF
- 投資信託の買い方
- オルカンに関するQ&A
オルカンに投資を検討する際、投資信託とETF(上場投資信託)のどちらを選ぶべきかという問題は、非常に悩ましい選択です。
両者は世界中の株式に幅広く分散投資するという点で共通していますが、手数料や税制、取引のしやすさ、そして長期的なパフォーマンスにおいて、それぞれ異なる特徴があります。
この記事では、コストや取引タイミング、税金面での違いなど、具体的なポイントを踏まえながら、どちらが適しているのかを詳しく解説します。
最適な選択を見つけるための道標として、ぜひ参考にしてください。
なお、投資信託とETFを購入するには証券口座を開設する必要があります。
まだ口座を開設していない方はこれを機に開設しておきましょう。
【おすすめのネット証券】
- 三井住友カード利用者:SBI証券
>> SBI証券のメリット・デメリットについて解説 - 楽天カード利用者:楽天証券
>> 楽天証券のメリット・デメリットについて解説 - au PAY カード利用者:auカブコム証券
>> auカブコム証券のメリット・デメリットについて - dカードまたは上記3つ以外のカード利用者:マネックス証券
>> マネックス証券のメリット・デメリットについて解説
投資信託・ETFとは?
投資信託とETF(上場投資信託)は、どちらも複数の投資家からお金を集めて、専門の運用会社がそれを運用する仕組みです。
運用会社は市場や経済の動向を研究して最適な投資先を選択するため、投資家は自分自身で資産を選ぶ必要がなく、運用会社に任せることが可能です。
また、投資信託やETFは複数の資産に投資するため、一つで多くの企業や国に分散投資できます。
例を挙げると、オルカンの構成銘柄数は先進国(23ヵ国)・新興国(24ヵ国)の株式約3,000です。
なお、仕組み自体はどちらも大きな違いはありませんが、いくつかの異なる点が存在します。
投資信託とETFの違い
投資信託 | ETF | |
上場・非上場 | 非上場 | 上場 |
取得価格 | 基準価額(1日1回) | 市場価格(リアルタイム) |
取引時間 | 1日1回 | 取引所の取引時間 |
取得場所 | 販売会社(銀行・証券会社など) | 証券会社 |
売買方法 | 直接購入 | 取引所での取引 |
取得時の手数料 | 販売手数料 | 売買手数料 |
信託報酬(運用・管理費用) | 高い | 低い |
売却・解約時の手数料 | 信託財産留保額 | 売買手数料 |
最低購入金額 | 100円程度 | 10,000円以上 |
分配金の有無 | 基本なし | あり |
上場・非上場
投資信託は非上場であり、購入や売却は主に銀行や証券会社を通じて行われます。
対して、ETFは上場しており、株式と同様に証券取引所で売買されます。
取得価格
投資信託の場合、取得価格は基準価額と呼ばれ、これは1日1回決定されます。
したがって、購入や売却の注文を出しても、その日の基準価額が確定するまで実際の取引価格はわかりません。
一方で、ETFは証券取引所に上場されており、市場価格で取引されます。
市場価格は株式と同様にリアルタイムで変動するため、投資家は市場の状況に応じて即座に取引を行うことができます。
取引時間
投資信託の購入や売却は1日に1度、基準価額が決定されるタイミングで行われます。
そのため、取引が成立するのは注文が出された日の終わり、もしくは翌営業日になることが多く、リアルタイムでの取引はできません。
ETFは株式と同様に証券取引所に上場しており、市場が開いている時間内であれば、リアルタイムで取引することが可能です。
例えば、東京証券取引所の場合、前場は9:00~11:30、後場は12:30~15:00まで開いています。
取得場所
投資信託は主に銀行や証券会社、ネット証券などの販売会社を通じて購入します。
一方、ETFは証券取引所に上場しているため、株式と同じように証券会社を通じて市場で売買を行います。
売買方法
投資信託は金融機関を通じて直接購入します。
銀行や証券会社などを介して手続きし、購入や換金を行うため、取引のタイミングが翌営業日以降になることが多いです。
そのため、即時の売買を行うことは難しいものの、初めて投資を始める方には手軽な選択肢となります。
対して、ETFは、株式と同様に取引所で売買されます。
これにより、取引時間中であれば、リアルタイムで価格を確認しながら売買が可能です。
取得時の手数料
投資信託を購入する際には、販売手数料が発生する場合があります。
この手数料は、購入時に一括で支払うもので、販売会社によって設定されている割合が異なります。
一方で、ETFを取得する際には、売買手数料がかかります。
ETFは証券会社を通じて市場で売買されるため、株式と同様に取引ごとに手数料が発生します。
信託報酬
信託報酬は、投資信託やETFの運用中にかかるコストです。
信託報酬の仕組みは?
信託報酬は毎日発生し、投資信託の純資産から日割りで引かれる形になります。
例えば、信託報酬が年率1%の投資信託に10万円投資したら、信託報酬は以下のようになります。
【信託報酬が年率1%の投資信託に10万円投資した場合】
- 1年間で発生する信託報酬:約1,100円(10万円×1.0%+消費税)
- 毎日発生する信託報酬:約3円(1,100÷365+消費税)
この額が純資産から差し引かれます。
なお、信託報酬は自動的に差し引かれるため、投資家が直接支払うことはありません。
一般的に、信託報酬は投資信託よりもETFの方が低いです。
ですが、最近では信託報酬の引き下げなどが行われ、ETFと大差ない投資信託も数多くあります。
売却・解約時の手数料
投資信託を売却・解約する際には、信託財産留保額が発生する場合があります。
これは信託財産(投資信託が保有する資産)から差し引かれる費用ですが、結果として解約した投資家の取り分が少し減ることになります。
信託財産留保額は何のためにある?
投資信託では多くの投資家のお金が集まって運用されていますが、一部の投資家が解約して資金を引き出す場合、その分の資産を売却する必要があります。
この資産売却には取引コストが発生し、資金を引き出したい投資家だけでなく、残っている他の投資家にも負担をかけることになります。
そのため、信託財産留保額という費用を設定し、解約する投資家からその費用を差し引くことで、残った投資家がそのコストを負担する必要がなくなります。
一方、ETFの売却時には、株式と同様に売買手数料がかかります。
最低購入金額
投資信託の最低購入金額は低く、特に積立型は100円程度から購入できるものが多いです。
対して、ETFは最低購入金額が比較的高く、一般的には1万円以上、高いと数万円を超える場合もあります。
分配金の有無
高配当投資信託などは別ですが、基本的に投資信託では分配金が配られません。
長期的な成長を目的としている投資信託は分配金を配らず、それを自動で再投資します。
対するETFでは、分配金が定期的に配られ、全世界に投資するETFの配当利回りは2〜3%ほどです。
オルカンは投資信託とETFどっち?
長期的な資産形成が目的なら投資信託
長期的な資産形成が目的なら、投資信託がおすすめです。
投資信託では、基本的に分配金が自動で再投資されますが、ETFでは分配金が投資家に一度返されます。
この際、ETFから得た分配金を再投資することもできますが、再投資するとその分だけNISA口座の非課税枠が減ってしまいます。
自動で再投資される場合、非課税枠は減りません。
また、ETFの分配金は総合課税または申告分離課税の対象であるため、分配金が配られるたびに約20%ほど課税されてしまいます。
上記の理由から、長期的に資産を築き上げたいなら投資信託に投資することをおすすめします。
全世界に投資しつつ分配金を得たいならETF
全世界に投資しつつ分配金を得たいなら、ETFがおすすめです。
ETFでは分配金が定期的に配られるため、株価の成長による資産増加を期待しながら、現金収入を得ることが可能。
ただし、再投資による複利効果が得られないため、資産成長のペースはやや緩やかになることが考えられます。
また、手動で分配金を再投資することもできますが、分配金は課税対象なので、運用効率が悪くなります。
長期的な資産成長を最大化したい場合は、配当金が再投資される投資信託を検討すると良いでしょう。
オールカントリー投資信託とETFの比較
オールカントリーに投資している投資信託とETFの比較を行います。
以下が、人気の投資信託である「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」と、ETFの「バンガード・トータル・ワールドストックETF(VT)」を比較したものです。
構成国
オルカンとVTの構成国の比較は以下のとおり。
オルカン | VT | |
アメリカ | 62.3% | 61.9% |
日本 | 5.5% | 6.0% |
イギリス | 3.7% | 3.7% |
フランス | 2.9% | 2.6% |
カナダ | 2.9% | 2.7% |
その他(先進国) | 12.0% | 13.4% |
新興国 | 10.7% | 9.7% |
- オルカン:2023年9月時点
- VT:2024年5月31日時点
構成国はどちらもほとんど同じです。
組入銘柄
オルカンとVTの組入上位10銘柄の比較は以下のとおり。
オルカン | VT | ||
---|---|---|---|
銘柄 | 比率 | 銘柄 | 比率 |
マイクロソフト | 4.2% | マイクロソフト | 3.95% |
アップル | 4.1% | アップル | 3.64% |
エヌビディア | 4.1% | エヌビディア | 3.49% |
アマゾン | 2.4% | アマゾン | 2.13% |
メタ・プラットフォームズ | 1.5% | メタ・プラットフォームズ | 1.31% |
アルファベット A | 1.4% | アルファベット A | 1.28% |
アルファベット C | 1.3% | アルファベット C | 1.07% |
イーライリリー | 1.0% | イーライリリ | 0.91% |
TSMC | 1.0% | ブロードコム | 0.87% |
ブロードコム | 0.9% | TSMC | 0.85% |
- オルカン:2024年6月28日時点
- VT:2024年6月30日時点
どちらもほぼ同じ銘柄で構成されています。
純資産額
純資産総額は組み入れられている株式や債券など資産の時価総額のことで、投資信託の規模を表します。
純資産総額が多いほど多くの人から投資されていることを意味します。
オルカン | VT |
4兆362億円 | 6.1兆円 |
- オルカン:2024年7月12日時点
- VT:2024年7月12日時点。1ドル=160円で計算
純資産額はVTの方が大きいです。
手数料
オルカン | VT | |
購入時手数料 | 無料 | 0.07% |
信託財産留保額 | 無料 | |
信託報酬 | 0.05775% | |
その他 | 0.03% | |
実質コスト | 0.08775% | 0.07% |
手数料はVTの方が安いですが、どちらも大差ありません。
利回り
オルカン | VT | |
2018年 | -7.50% | -14.1% |
2019年 | 26.8% | 27.2% |
2020年 | 9% | 11.3% |
2021年 | 32.7% | 31.1% |
2022年 | -5.6% | -6.1% |
2023年 | 19.6% | 31.9% |
平均 | 12.5% | 13.55% |
利回りはVTの方が高いですが、どちらも大差ありません。
新NISAの対象
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
オルカン | ◯ | ◯ |
VT | × | ◯ |
つみたて投資枠、成長投資枠とは?
新NISAでは、年間投資枠120万円の「つみたて投資枠」と年間投資枠240万円の「成長投資枠」が設けられています。
つみたて投資枠ではつみたて投資のみ行えますが、成長投資枠では一括投資とつみたて投資の両方が可能です。
そのため、つみたて投資に年間最大360万円あてることもできます。
なお、新NISAにおける非課税保有限度枠は1,800万円であり、最短5年で全ての枠を埋められます。
オルカンはつみたて投資枠と成長投資枠の対象ですが、VTは成長投資枠のみ対象です。
おすすめのオールカントリー投資信託
名称 | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) |
運用会社 | 三菱UFJアセットマネジメント |
種類 | 投資信託 |
目標とする指数 | ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス) |
構成銘柄数 | 約3,000銘柄 |
購入時手数料 | なし |
信託財産留保額 | なし |
信託報酬(手数料) | 0.05775% |
成長投資枠対象 | ◯ |
つみたて投資枠対象 | ◯ |
販売会社 | 主要ネット証券 |
おすすめの投資信託は、三菱UFJアセットマネジメントが運用する「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」です。
全世界株価指数「ACWI」に連動する投資信託で、先進国(23ヵ国)・新興国(24ヵ国)の株式約3,000銘柄で構成されています。
人気・知名度が高く、「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the year」では5回連続(2019年〜2023年)で第1位に輝いています。
なお、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の登録商標は「オルカン」であるため、オルカンはこの投資信託を意味することもあります。
おすすめのオールカントリーETF
名称 | バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT) |
運用会社 | バンガード社 |
種類 | 米国ETF |
目標とする指数 | FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス |
構成銘柄数 | 約9,000銘柄 |
経費率(手数料) | 0.07% |
直近配当利回り | 2.01% |
成長投資枠対象 | ◯ |
つみたて投資枠対象 | × |
販売会社 | 主要ネット証券 |
おすすめのETFは、バンガード社が運用する「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)」です。
全世界株価指数「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス」に連動する投資信託で、先進国(23ヵ国)・新興国(24ヵ国)の株式約9,000銘柄で構成されています。
また、VTは分配金を年4回(3月・6月・9月・12月)配り、直近の分配金利回りは2.01%ほどです。
投資信託の買い方
投資信託の買い方は以下のとおり。
- 証券口座を開設する
- 投資信託を積立購入する
①証券口座を開設する
投資信託を購入するには証券口座を開設する必要があります。
多くのネット証券ではNISA口座での取引手数料が無料になったので、使用するクレジットカードによって証券口座を選ぶと良いでしょう。
NISA口座(非課税口座)とは?
証券口座には課税口座(一般口座と特定口座)とNISA口座(非課税口座)があります。
課税口座で投資を行い利益を得たら20%の税金がかかりますが、NISA口座で投資を行えば税金がかかりません。
- 三井住友カード利用者:SBI証券
>> SBI証券のメリット・デメリットについて解説 - 楽天カード利用者:楽天証券
>> 楽天証券のメリット・デメリットについて解説 - au PAY カード利用者:auカブコム証券
>> auカブコム証券のメリット・デメリットについて - dカードまたは上記3つ以外のカード利用者:マネックス証券
>> マネックス証券のメリット・デメリットについて解説
クレジットカードで積立するとポイントが還元されます。
なお、マネックス証券のポイント還元率は1.1%とトップクラスの還元率を誇ります。
三井住友カードや楽天カード、au PAY カードを持っていない方は、マネックスカードを作成してマネックス証券を利用すると良いでしょう。
②投資信託を積立購入する
証券口座を開設したら投資信託を積立購入します。
つみたて投資枠、成長投資枠とは?
新NISAでは、年間投資枠120万円の「つみたて投資枠」と年間投資枠240万円の「成長投資枠」が設けられています。
つみたて投資枠ではつみたて投資のみ行えますが、成長投資枠では一括投資とつみたて投資の両方が可能です。
そのため、つみたて投資に年間最大360万円あてることもできます。
なお、新NISAにおける非課税保有限度枠は1,800万円であり、最短5年で全ての枠を埋められます。
オルカンに関するQ&A
オルカンは複利がないの?
オルカンに投資することで、分配金が自動的に再投資され、複利効果を享受ができます。
分配金には約20%の税金が課されますが、再投資されることで税制上のメリットを最大限に活用することが可能です。
ただし、投資信託における複利効果は、一般的な複利とは異なる特性を持ちます。
投資信託では分配金純資産に追加されますが、信託報酬やその他の管理費用などの手数料が、この純資産から差し引かれます。
詳しくは「オルカンに投資したら複利効果は得られる?分配金との関係についても解説」をご覧ください。
オルカンの利回りは?
オルカンの過去の利回りは以下のとおり。
【オルカンの過去の利回り】
- 2018年:-7.5%
- 2019年:26.8%
- 2020年:9%
- 2021年:32.7%
- 2022年:-5.6%
- 2023年:19.6%
- 平均:12.5%
詳しくは「オルカンの平均利回りはどれくらい?過去データを基に解説」をご覧ください。
まとめ
今回はオルカンは投資信託とETFどっちを選ぶべきかについて解説しました。
- 投資信託・ETFとは?
- 投資信託とETFの違い
- オルカンは投資信託とETFどっち?
- オールカントリー投資信託とETFの比較
- おすすめのオールカントリー投資信託
- おすすめのオールカントリーETF
- 投資信託の買い方
- オルカンに関するQ&A
長期的な資産形成を目指す場合、投資信託がおすすめです。
投資信託では、分配金が自動的に再投資されるため、非課税枠を有効に活用することが可能。
一方、ETFでは分配金が投資家に返され、再投資する際にはNISA口座の非課税枠が減ってしまいます。
また、ETFの分配金は総合課税または申告分離課税の対象であるため、分配金が配られるたびに約20%ほど課税されてしまいます
ただ、全世界に分散投資しつつ分配金を受け取りたい場合は、ETFも一つの選択肢となるでしょう。
投資スタイルに合わせて、最適な方法を選ぶことが大切です。
なお、投資信託とETFを購入するには証券口座を開設する必要があります。
まだ口座を開設していない方はこれを機に開設しておきましょう。
【おすすめのネット証券】
- 三井住友カード利用者:SBI証券
>> SBI証券のメリット・デメリットについて解説 - 楽天カード利用者:楽天証券
>> 楽天証券のメリット・デメリットについて解説 - au PAY カード利用者:auカブコム証券
>> auカブコム証券のメリット・デメリットについて - dカードまたは上記3つ以外のカード利用者:マネックス証券
>> マネックス証券のメリット・デメリットについて解説