・オルカンの銘柄入れ替えの頻度や方法は?
このような悩みに答えます。
- オルカンとは?
- オルカンの仕組み
- オルカンの銘柄入れ替え
- オルカンの過去の銘柄入れ替え
オルカンは、世界中の株式市場を対象としたインデックスファンドとして、多くの投資家に利用されています。
しかし、インデックスの構成銘柄は固定されているわけではありません。
市場の変動や企業の成長・衰退に応じて、定期的に銘柄の入れ替えが行われます。
この記事では、オルカンの銘柄入れ替えの頻度やその方法について詳しく解説します。
どのような基準で銘柄が選ばれ、また除外されるのか、そのプロセスを理解することで、オルカンに関する知識を深めるられるでしょう。
なお、オルカンを購入するには証券口座を開設する必要があります。
まだ口座を開設していない方はこれを機に開設しておきましょう。
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オルカンとは?
オルカンは三菱UFJアセットマネジメントが運用する「eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)」という投資信託です。
全世界株価指数「ACWI」に連動するインデックスファンドで、先進国(23ヵ国)・新興国(24ヵ国)の株式約3,000銘柄で構成されています。
人気・知名度が高く、「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the year」では5回連続(2019年〜2023年)で第1位に輝いています。
そんなオルカンは、強い国には多く投資して弱い国には少なく投資する「時価総額加重平均」を用いています。
現在は米国が全体の62.3%を占め、日本は5.5%、英国は3.7%となっていますが、新興国がさらに成長すれば比率は大きく変わります。
オルカンの仕組み
オルカンの目標とする指数であるACWIは、「MSCIワールド・インデックス」と「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」を合わせたものです。
MSCIとは?
MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)は、金融サービス会社です。
世界中の投資家に向けてインデックス(株価指数)を提供しており、株式市場のパフォーマンスを測定するための指標として広く利用されています。
しかし、オルカンはMSCIエマージング・マーケット・インデックスに投資するもの、MSCIワールド・インデックスには投資しません。
上記の画像の通り、外国株、新興国株、日本株の3つのマザーファンドに投資しながら、ACWIの成績を目指しています。
組入ファンド | マザーファンド名 | 組入比率 |
外国株式インデックスマザーファンド | MSCIコクサイ・インデックス | 84.5% |
新興国株式インデックスマザーファンド | MSCIエマージング・マーケット・インデックス | 10.0% |
日本株式インデックスマザーファンド | MSCIジャパン・インデックス | 5.5% |
なお、MSCIコクサイ・インデックスは、MSCIワールドインデックスからMSCIジャパン・インデックスを除いた指数です。
コクサイという言葉の通り、この指数は日本株を自由に調整したい日本人向けに作られました。
そのため、ACWIは先進国株式をMSCIワールド・インデックスのみでカバーしているのに対し、オルカンはコクサイとジャパン・インデックスに分けています。
ただ、どちらの場合であっても含まれる銘柄は同じなので、パフォーマンスに違いはほとんど生じません。
オルカンの銘柄入れ替え
オルカンはMSCIワールド・インデックスとMSCIエマージング・マーケット・インデックス、そしてMSCIジャパン・インデックスに投資します。
そのため、上記3つの株価指数で銘柄入れ替えが行われたら、オルカンの銘柄も入れ替えられます。
つまり、「オルカンの銘柄入れ替え=MSCIの株価指数の銘柄入れ替え」ということです。
そんなMSCIの株価指数は同じ方法で銘柄入れ替えが行われるので、MSCIの銘柄入れ替え方法について解説します。
MSCIでは2月、5月、8月、11月に「クォータリー・インデックス・レビュー(QIR)」という調整が行われます。
QIRでは様々な調整が行われますが、銘柄入れ替えの主な基準は以下の通りです。
- 最低時価総額基準:時価総額が大きい銘柄を選んでいき、時価総額全体の99%に達した場合、その銘柄が時価総額の基準となる
- 最低浮動株調整時価総額基準:銘柄が最低時価総額基準の50%以上の浮動株調整時価総額を持っている
- 最低流動性基準:
- 先進国市場: 12ヶ月間と3ヶ月間の回転率がそれぞれ20%以上、3ヶ月値付率が90%以上
- 新興国市場: 12ヶ月間と3ヶ月間の回転率がそれぞれ15%以上、3ヶ月値付率が80%以上
- 外国人投資基準:外国人の所有比率が0.15以上
- 最低売買期間基準:銘柄が3ヶ月以上取引されている
参考:MSCI指数ハンドブック
最低時価総額基準
インデックスを構成する銘柄を選ぶとき、どの銘柄を追加するかの基準として「最低時価総額基準」という方法が使われます。
最低時価総額基準を決めるには、まず、全ての銘柄をその時価総額の大きい順にリストアップします。
例えば、100銘柄があって、時価総額の合計が1000億円だとすると、99%は990億円です。
時価総額が大きい順に銘柄を並べていき、990億円をカバーするまで選び、最終的に50銘柄がこの990億円をカバーすることになったとします。
その際、50番目の銘柄の時価総額が、インデックスに含める銘柄の最低基準になります。
つまり、この基準以上の時価総額を持つ銘柄だけが、インデックスに追加される可能性があるということです。
最低浮動株調整時価総額基準
浮動株調整時価総額は、企業の全株式の時価総額から、経営陣や大株主が保有していて取引されない株式を除いたものです。
つまり、実際に市場で取引されている株式の価値だけを考慮します。
「銘柄が最低時価総額基準の50%以上の浮動株調整時価総額を持っている」とは、ある企業の浮動株調整時価総額が、市場で定められた最低基準額の50%以上であるということです。
例えば、基準が10億ドルなら、その企業の浮動株調整時価総額が5億ドル以上である必要があります。
この基準を満たすことで、株式が十分に流動性を持っていて、投資家が簡単に売買できることが保証されます。
最低流動性基準
最低流動性基準というのは、株がどれだけ簡単に売買できるかを測る基準です。
【先進国市場】
- 12ヶ月間と3ヶ月間の回転率が20%以上:銘柄が1年間と3ヶ月間の両方で少なくとも20%の量が売買される必要がある。例えば、100株あるとすると、そのうちの20株が該当する。
- 3ヶ月値付率が90%以上:銘柄が市場で90%以上の日に取引されている必要がある。つまり、3ヶ月のうち約2ヶ月と3週間は取引が行われていなければならない。
【新興国市場】
- 12ヶ月間と3ヶ月間の回転率が15%以上:銘柄が1年間と3ヶ月間の両方で少なくとも15%の量が売買される必要がある。例えば、100株あるとすると、そのうちの15株が該当する。
- 3ヶ月値付率が80%以上:銘柄が市場で80%以上の日に取引されている必要がある。つまり、3ヶ月のうち約2ヶ月と1週間は取引が行われていなければならない。
外国人投資基準
外国人投資家基準というのは、株式市場である株式が外国人投資家によって一定の割合以上所有されていることを条件とする基準です。
「外国人の所有比率が0.15以上」とは、ある株式の15%以上を外国人投資家が持っている必要があるということです。
例えば、1,000株発行されている銘柄の場合、そのうちの150株以上を外国人が持っていなければなりません。
この基準が設けられていることで、国際的な投資家の関心を集め、株価の公正性を確保できます。
最低売買期間基準
最低売買期間基準とは、株式が一定の期間以上連続して取引されていることを条件とする基準です。
「銘柄が3ヶ月以上取引されている」というのは、ある株式が少なくとも3ヶ月間は継続的に取引されているということです。
この基準を設けることで、投資家が安心して取引できるようになり、市場全体の信頼性が高まります。
上記5つの基準を満たしている銘柄が追加され、満たしていない銘柄が除外されます。
また、その他の構成銘柄が除外されるケースは以下のとおりです。
【その他の構成銘柄が除外されるケース】
- 時価総額の33%以上が減少
- 倒産、会社更生法適用申請等
- 再開の見通しの立たない売買停止
- 浮動株(市場で取引できる株)や外国人投資可能株の減少
オルカンの過去の銘柄入れ替え
MSCIの指数は2月、5月、8月、11月に見直され、最近では2024年2月と2024年5月に銘柄入れ替えが行われました。
2024年2月
2024年2月に追加または除外された銘柄の国別比較は以下の通りです。
国名 | 追加数 | 除外数 | 増減 |
オーストラリア | 1 | 1 | 0 |
日本 | 1 | 8 | -7 |
香港 | 0 | 3 | -3 |
マレーシア | 2 | 1 | +1 |
台湾 | 0 | 1 | -1 |
韓国 | 2 | 5 | -3 |
タイ | 0 | 3 | -3 |
インド | 5 | 0 | +5 |
中国 | 5 | 66 | -61 |
シンガポール | 0 | 1 | -1 |
スペイン | 0 | 2 | -2 |
フランス | 1 | 0 | +1 |
ドイツ | 0 | 2 | -2 |
トルコ | 1 | 2 | -1 |
サウジアラビア | 1 | 2 | -1 |
ポーランド | 0 | 1 | -1 |
2024年2月の銘柄れ入れ替えでは、24銘柄追加され、101銘柄が除外されました。
特に、中国は不動産業界の問題や消費低迷を発端に2023年から下落相場を形成しており、66銘柄が除外。
一方、インド株は1つも除外はなく、新たに5銘柄が追加されました。
また、円安によるドル建て時価総額の減少により、日本企業も8銘柄ほど除外の対象となりました。
2024年5月
2024年5月に追加または除外された銘柄の国別比較は以下の通りです。
国名 | 追加数 | 除外数 | 増減 |
オーストラリア | 1 | 1 | 0 |
日本 | 1 | 15 | -14 |
香港 | 0 | 2 | -2 |
ニュージランド | 0 | 1 | -1 |
インドネシア | 1 | 2 | -1 |
フィリピン | 0 | 1 | -1 |
台湾 | 2 | 3 | -1 |
韓国 | 3 | 4 | -1 |
タイ | 0 | 3 | -3 |
インド | 13 | 3 | +10 |
中国 | 10 | 56 | -46 |
シンガポール | 0 | 5 | -5 |
スペイン | 1 | 1 | 0 |
フランス | 0 | 1 | -1 |
ドイツ | 1 | 0 | +1 |
オランダ | 1 | 0 | +1 |
スウェーデン | 1 | 0 | +1 |
英国 | 0 | 4 | -4 |
サウジアラビア | 1 | 0 | +1 |
ポーランド | 0 | 1 | -1 |
エジプト | 1 | 1 | 0 |
米国 | 4 | 15 | -11 |
ブラジル | 1 | 2 | -1 |
2024年5月の銘柄れ入れ替えでは、42銘柄追加され、121銘柄が除外されました。
前回と同様に、中国企業と日本企業の銘柄が多く除外されました。
一方で、今回も多くのインド株が追加され、経済成長に欠かせないインフラやエネルギー関連の企業が多く選出されました。
今後もインドの経済成長にますます注目が集まることでしょう。
まとめ
今回はオルカンの銘柄入れ替えの頻度や方法について解説しました。
- オルカンとは?
- オルカンの仕組み
- オルカンの銘柄入れ替え
- オルカンの過去の銘柄入れ替え
オルカンはMSCIワールド・インデックスとMSCIエマージング・マーケット・インデックス、そしてMSCIジャパン・インデックスに投資します。
そのため、上記3つの株価指数で銘柄入れ替えが行われたら、オルカンの銘柄も入れ替えられます。
MSCIの株価指数は、設定された基準に従い、四半期ごとに見直しが行われることで、常に最新の市場状況を反映するよう努めています。
これにより、オルカンは長期的に安定したリターンを提供することができ、投資家はより信頼性の高いポートフォリオを構築することが可能です。
銘柄入れ替えのプロセスとその頻度を理解することは、オルカンを利用した投資戦略を最適化するための鍵となります。
なお、オルカンを購入するには証券口座を開設する必要があります。
まだ口座を開設していない方はこれを機に開設しておきましょう。
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