気絶投資法とは?メリットやデメリット、本当に効果的なのかについて教えてほしい
このような悩みに答えます。
- 気絶投資法とは?
- 気絶投資法のメリット
- 気絶投資法のデメリット
- 気絶投資法はおすすめ?
- 気絶投資法に関するQ&A
気絶投資法は、株式投資において「購入したらその後は見ない」というシンプルな方法を提唱する投資スタイルです。
市場の変動や短期的な株価の動きに対して一喜一憂せず、むしろ長期的な成長を見込むことで、感情に左右されることを避けようとするものです。
この投資法は、シンプルでありながら、実際には投資パフォーマンスの向上をもたらすため、注目を集めています。
本記事では、気絶投資法のメリットやデメリット、そしてこの手法が本当に効果的なのかについて詳しく解説します。
気絶投資法とは?
気絶投資法とは、株を購入したらその存在を忘れたかのように長期保有(気絶)することを指す投資手法です。
これは正式な投資用語ではなく、SNSなどで広まった造語です。
この手法が注目されたきっかけは、過去の調査によって、「亡くなっている人」や「投資をしていることを忘れている人」の運用成績が非常に良好だったことが明らかになったためです。
運用会社のフィデリティが2003年から2013年の顧客パフォーマンスを調査した結果、運用成績が最も良かったのは以下の2つのタイプの投資家でした。
- 1位:亡くなっている人
- 2位:投資を忘れている人
この結果から、投資したことを忘れる気絶投資法が、パフォーマンス向上につながる可能性があるとして注目されました。
気絶投資法のメリット
気絶投資法のメリットは以下の3つ。
- 長期投資が可能
- 狼狽売りを防げる
- 取引手数料を抑えられる
①長期投資が可能
気絶投資法の最大の利点は、長期的な投資を続けやすいことで、投資期間が長いほどリスクを抑える効果が期待されます。
下記の図は「資産・地域を分散して積立投資を行なった場合の運用成果の実績【保有期間別(5年、20年)】」を金融庁がまとめたものです。
5年間の保有では元本割れのリスクが目立つ一方、20年間保有することでそのリスクはほぼ回避されていることが分かっています。
過去の実績が未来を保証するわけではありませんが、長期間投資することで元本割れの可能性を大きく抑えることが可能です。
②狼狽売りを防げる
気絶投資法の大きなメリットの一つは、日々の株価の変動に振り回されずに投資を続けられる点です。
株式市場には上昇と下落を繰り返すサイクルが存在し、短期間の下落局面でパニックに陥ってしまうと、本来得られるはずの回復やその後の上昇益を逃してしまうことがあります。
しかし、気絶投資法では、株価の動きを逐一チェックするのではなく、長期間にわたって保有し続けるため、短期的な市場の動きに左右されにくくなります。
また、頻繁に株価をチェックしてしまうと、下落相場で感じるストレスが増すため、精神的な負担が大きくなります。
気絶投資法は、市場の短期的な変動や不安に対処する際のストレスを軽減し、より落ち着いて投資を続けるための助けとなります。
③取引手数料を抑えられる
通常、頻繁に売買を繰り返すと、その都度発生する取引手数料が積み重なり、パフォーマンスに悪影響を及ぼします。
しかし、気絶投資法では、一度購入した株や投資信託を長期間にわたって保有し続けるため、取引回数が大幅に減少します。
その結果、発生する手数料も最低限に抑えることができ、コスト効率の良い投資が可能となります。
特に、長期的な運用を目指す場合には、こうした手数料の削減が大きな効果をもたらし、最終的な運用成果を高めることにつながるでしょう。
さらに、取引手数料だけでなく、売買に伴う税金やスプレッドなどのコストも抑えられるため、投資全体の効率を向上させることが期待できます。
気絶投資法のデメリット
気絶投資法のデメリットは以下の3つ。
- 資産が減っている可能性がある
- 市場の変化に対応できない
- 税制や制度の変更に対応しにくい
①資産が減っている可能性がある
相場の未来は常に不確実であり、過去のデータが必ずしも将来の結果を保証するわけではありません。
長期投資は比較的安定したリターンを生み出してきたという実績がありますが、それはあくまで過去の話です。
今後の市場環境や世界経済の動向は誰にも予測できず、20〜30年後に含み損を抱えている可能性も否定できません。
さらに、経済全体が大きな危機に見舞われた場合には、分散投資をしていても資産全体が大きく目減りすることがあります。
リーマンショックやコロナショックのような大規模な市場崩壊が発生すると、広範囲にわたる株価下落が避けられず、長期保有であっても資産が減少してしまうリスクを抱えることになります。
そのため、長期投資だからといって必ずしもリスクがないわけではなく、資産が減る可能性についても認識しておくことが重要です。
②市場の変化に対応できない
市場や経済の状況は常に変化しており、時には大きく環境が変わることもあります。
こうした変化に合わせて、投資先や資産の配分を見直すことでリスクを減らし、より良い成果を目指すことが大切です。
例えば、特定の業界が長期間にわたって低迷したり、新しい成長分野が出現したりする場合、それに合わせて投資内容を調整するのが一般的な対策です。
しかし、気絶投資法では一度買った株や投資信託をそのまま放置するため、市場の変化に対応することができません。その結果、大きなリスクを抱える可能性があります。
特に、景気の悪化や金利の変動、地政学的リスクなどの影響を受けたとき、適切に対応しないと資産が大きく減少する危険があるのです。
③税制や制度の変更に対応しにくい
投資を取り巻く税制や投資制度は、時折変更されることがあり、それに応じて適切な対応が求められます。
しかし、気絶投資法では一度投資したらそのまま放置するため、こうした変更に迅速に対応するのが難しい場合があります。
特に、新NISAのような投資制度の大幅な変更が行われた際には、それに伴う新たなルールや活用方法を理解して最適な投資戦略を取ることが重要です。
しかし、気絶投資法ではこうした制度変更を見逃すリスクが高く、結果的に制度の恩恵を十分に活かせないままになってしまうことがあるのです。
そのため、税制や制度の変更に対応する柔軟性が欠けている点は、気絶投資法の大きなデメリットの一つといえるでしょう。
気絶投資法はおすすめ?
長期間投資する点は参考にすべき
気絶投資法の基本的なアイデアである「長期間にわたる投資」は、リスクを抑えるための有効な戦略といえます。
市場の変動による一時的な損失は避けられないものの、時間をかけて保有することで資産が回復し、着実に成長する可能性が高まるため、この点は参考にすべきです。
ただ、投資したことを完全に忘れるというのは現実的ではありません。株価の大幅な下落は、経済危機や戦争、未曾有の出来事などと密接に関連していることが多く、こうした大きな変動は日常生活において自然と耳に入ってくるものです。
経済危機として有名なリーマンショックでは、全世界株式、S&P500、日経平均株価などの主要な株価指数が40%から50%もの大幅な下落を記録しました。
こうした経済危機や有事のニュースは、情報を完全にシャットアウトしていても何らかの形で耳に入るため、投資を完全に忘れたままでいるのは非常に難しいでしょう。
また、気絶投資法の根拠としてよく引用される「最も運用成績が良かったのは、すでに他界している人や運用していることを忘れている人だった」という調査結果は、極端なケースです。
したがって、長期的な視点での投資自体は非常に有効であるものの、投資を完全に放置する気絶投資法の考え方をそのまま採用するのはおすすめできません。
経済ニュースに目を通しておくべき
情報をシャットアウトしていても、何気ない瞬間に株価の下落や経済危機に関するニュースを耳にし、慌ててしまうことがあるでしょう。
このような慌てた行動は、最も避けるべきものであり、特に下落時に狼狽売りをしてしまうと、資産に対する損失リスクが高まります。
日常生活を送っている中で、経済危機や有事、未曾有の出来事に関する情報は、ニュースやSNS、友人との会話など、さまざまなルートから自然と耳に入ってきます。
だからこそ、投資を完全に忘れるのではなく、定期的に経済ニュースにも目を通しておくことが重要です。
時折経済ニュースを確認し、何が起きているのか、経済がどういう状態なのかを把握しておくことで、投資に対する理解が深まります。
定期的に経済に関する情報を得ることで、安心感を持ちながら投資を続けることができるでしょう。
暴落が起こることを知っておく
投資を行う際には、暴落が起こる可能性を常に頭に入れておくことが重要です。
例えば、2008年に発生したリーマンショックでは、S&P500は約49%の大幅な下落を記録し、全世界株式も約53%の暴落を経験しました。
広範な市場で大規模な経済危機が発生すると、株価は大きく下落することが避けられません。
しかし、過去のデータを振り返ると、これらの指数はどちらも数ヶ月から数年のうちに回復していることがわかります。
以下のグラフは、1926年から2023年12月にかけての米国株式の推移で、この期間に米国株式市場は数多くの経済的な暴落を経験してきましたが、それらを乗り越えながら着実に成長してきました。
経済危機は一般的に一時的なものであり、時間の経過とともに再び回復する力を持っています。
経済危機によって暴落が起きること、数ヶ月〜数年で回復してきた過去があることを知っておくことで、もし暴落が発生した際にパニックにならずに済むでしょう。
気絶投資法に関するQ&A
どのような資産に適用できるの?
気絶投資法は、長期的に成長が見込まれる多様な資産に適用することが可能です。
具体的には、株式、債券、ETF(上場投資信託)などが挙げられます。
これらの資産に長期的な視点で投資することで、気絶投資法の理念に沿った資産運用が可能となります。
気絶投資法に適した期間は?
気絶投資法に適した投資期間は、最低でも10年やそれ以上の長期的な期間が理想的です。
長期間にわたって資産を保有することで、市場の短期的な変動を乗り越えることができ、資産の成長を実現するチャンスが高まります。
特に、株式市場は長期的には上昇する傾向があるため、最低でも10年以上続けることで、より高いリターンを期待できるでしょう。
投資は貯金ゼロでも始めるべき?
貯金がゼロの場合は、まず生活費の6ヶ月から1年分を目標に貯金を進めながら、同時に少額から投資を始めると良いでしょう。
特に新NISAは100円程度から手軽にスタートできるため、リスクを抑えつつ少額投資を通じて投資の経験を積むことができます。
投資に慣れていくことで、市場の変動に対する不安も軽減され、長期的な資産形成に向けた計画を立てやすくなるでしょう。
まとめ
今回は気絶投資法について解説しました。
- 気絶投資法とは?
- 気絶投資法のメリット
- 気絶投資法のデメリット
- 気絶投資法はおすすめ?
- 気絶投資法に関するQ&A
気絶投資法の基本的なアイデアである「長期間にわたる投資」は、リスクを抑えるための有効な戦略といえます。
ただ、投資したことを完全に忘れるというのは現実的ではありません。株価の大幅な下落は、経済危機や戦争、未曾有の出来事などと密接に関連していることが多く、こうした大きな変動は日常生活において自然と耳に入ってくるものです。
情報をシャットアウトしていても、何気ない瞬間に株価の下落や経済危機に関するニュースを耳にし、慌ててしまうことがあるでしょう。
このような慌てた行動は、最も避けるべきものであり、特に下落時に狼狽売りをしてしまうと、資産に対する損失リスクが高まります。
そのため、長期的な視点での投資自体は非常に有効ですが、気絶投資法をそのまま採用するのはおすすめできません。
投資を完全に忘れるのではなく、長期投資を前提にしつつ、定期的に経済ニュースに目を通すことが重要です。