・投資信託とは?
・ETFとの違いは何?
このような悩みに答えます。
- 投資信託とは?
- 投資信託とETFの違い
- 投資信託とETFどっちに投資すべき?
- 投資信託の運用方法
- 投資信託の購入・運用にかかるコスト
- 投資信託の償還日、繰上償還とは?
投資信託とは?
投資信託は、複数の投資家からお金を集めて、専門の運用会社がそれを運用する仕組みです。
運用会社は市場や経済の動向を研究して最適な投資先を選択するため、投資家は自分自身で資産を選ぶ必要がなく、運用会社に任せることが可能です。
また、投資信託では、複数の資産(例:株式、債券、不動産など)に投資します。
そのため、一つの投資信託を利用することで、複数の企業や国に分散投資できます。
投資信託はローリスク・ローリターンな投資です。
投資信託とETFの違い
投資信託 | ETF | |
上場・非上場 | 非上場 | 上場 |
取得価格 | 基準価額(1日1回) | 市場価格(リアルタイム) |
取引時間 | 1日1回 | 取引所の取引時間 |
取得場所 | 販売会社(銀行・証券会社など) | 証券会社 |
売買方法 | 直接購入 | 取引所での取引 |
取得時の手数料 | 販売手数料 | 売買手数料 |
信託報酬(運用・管理費用) | 高い | 低い |
売却・解約時の手数料 | 信託財産留保額 | 売買手数料 |
最低購入金額 | 100円程度 | 10,000円以上 |
分配金の有無 | 基本なし | あり |
上場・非上場
投資信託は非上場であり、購入や売却は主に銀行や証券会社を通じて行われます。
対して、ETFは上場しており、株式と同様に証券取引所で売買されます。
取得価格
投資信託の場合、取得価格は基準価額と呼ばれ、これは1日1回決定されます。
したがって、購入や売却の注文を出しても、その日の基準価額が確定するまで実際の取引価格はわかりません。
一方で、ETFは証券取引所に上場されており、市場価格で取引されます。
市場価格は株式と同様にリアルタイムで変動するため、投資家は市場の状況に応じて即座に取引を行うことができます。
取引時間
投資信託の購入や売却は1日に1度、基準価額が決定されるタイミングで行われます。
そのため、取引が成立するのは注文が出された日の終わり、もしくは翌営業日になることが多く、リアルタイムでの取引はできません。
ETFは株式と同様に証券取引所に上場しており、市場が開いている時間内であれば、リアルタイムで取引することが可能です。
例えば、東京証券取引所の場合、前場は9:00~11:30、後場は12:30~15:00まで開いています。
取得場所
投資信託は主に銀行や証券会社、ネット証券などの販売会社を通じて購入します。
一方、ETFは証券取引所に上場しているため、株式と同じように証券会社を通じて市場で売買を行います。
売買方法
投資信託は金融機関を通じて直接購入します。
銀行や証券会社などを介して手続きし、購入や換金を行うため、取引のタイミングが翌営業日以降になることが多いです。
そのため、即時の売買を行うことは難しいものの、初めて投資を始める方には手軽な選択肢となります。
対して、ETFは、株式と同様に取引所で売買されます。
これにより、取引時間中であれば、リアルタイムで価格を確認しながら売買が可能です。
取得時の手数料
投資信託を購入する際には、販売手数料が発生する場合があります。
この手数料は、購入時に一括で支払うもので、販売会社によって設定されている割合が異なります。
一方で、ETFを取得する際には、売買手数料がかかります。
ETFは証券会社を通じて市場で売買されるため、株式と同様に取引ごとに手数料が発生します。
信託報酬
信託報酬は、投資信託やETFの運用中にかかるコストです。
信託報酬の仕組みは?
信託報酬は毎日発生し、投資信託の純資産から日割りで引かれる形になります。
例えば、信託報酬が年率1%の投資信託に10万円投資したら、信託報酬は以下のようになります。
【信託報酬が年率1%の投資信託に10万円投資した場合】
- 1年間で発生する信託報酬:約1,100円(10万円×1.0%+消費税)
- 毎日発生する信託報酬:約3円(1,100÷365+消費税)
この額が純資産から差し引かれます。
なお、信託報酬は自動的に差し引かれるため、投資家が直接支払うことはありません。
一般的に、信託報酬は投資信託よりもETFの方が低いです。
ですが、最近では信託報酬の引き下げなどが行われ、ETFと大差ない投資信託も数多くあります。
売却・解約時の手数料
投資信託を売却・解約する際には、信託財産留保額が発生する場合があります。
これは信託財産(投資信託が保有する資産)から差し引かれる費用ですが、結果として解約した投資家の取り分が少し減ることになります。
信託財産留保額は何のためにある?
投資信託では多くの投資家のお金が集まって運用されていますが、一部の投資家が解約して資金を引き出す場合、その分の資産を売却する必要があります。
この資産売却には取引コストが発生し、資金を引き出したい投資家だけでなく、残っている他の投資家にも負担をかけることになります。
そのため、信託財産留保額という費用を設定し、解約する投資家からその費用を差し引くことで、残った投資家がそのコストを負担する必要がなくなります。
一方、ETFの売却時には、株式と同様に売買手数料がかかります。
最低購入金額
投資信託の最低購入金額は低く、特に積立型は100円程度から購入できるものが多いです。
対して、ETFは最低購入金額が比較的高く、一般的には1万円以上、高いと数万円を超える場合もあります。
分配金の有無
高配当投資信託などは別ですが、基本的に投資信託では分配金が配られません。
長期的な成長を目的としている投資信託は分配金を配らず、それを自動で再投資します。
対するETFでは、分配金が定期的に配られ、全世界に投資するETFの配当利回りは2〜3%ほどです。
投資信託とETFどっちに投資すべき?
長期的な資産形成が目的であれば、投資信託がおすすめです。
投資信託では分配金が自動で再投資されますが、ETFでは分配金が投資家に一度返されます。
この際、ETFから得た分配金を再投資することもできますが、再投資するとその分だけNISA口座の非課税枠が減ってしまいます。
投資信託であれば自動で再投資されるので、非課税枠が減りません。
また、ETFの分配金は総合課税または申告分離課税の対象であるため、分配金が配られるたびに課税されます。
上記の理由から、長期的に資産を築き上げたいなら投資信託に投資することをおすすめします。
ただ、定期的に分配金を得たいのなら、ETFに投資して分配金を得ると良いでしょう。
投資信託の運用方法
投資信託の運用方法は以下の2つ。
- パッシブ運用
- アクティブ運用
①パッシブ運用
パッシブ運用は、日経平均株価やS&P500など特定の株価指数に連動するように運用される手法です。
パッシブ運用の投資信託はインデックスファンドと呼ばれることもあります。
パッシブ運用では積極的に銘柄を選定する必要がないので、取引コストや管理費用が低くなっています。
②アクティブ運用
アクティブ運用は、銘柄の選定・調整を行うことで目標とする株価指数の成果を上回ることを目的とした手法です。
例を挙げると、GAFAMだけに投資するなどですね。
アクティブ運用の投資信託はアクティブファンドと呼ばれることもあります。
専門知識のあるマネージャーが銘柄の選定・調整を行うので、パッシブ運用より利回りが大きくなることがあります。
ただ、その分リスクも大きく、8割のアクティブ運用はパッシブ運用に勝てません。
投資信託の購入・運用にかかるコスト
購入時・売却時
購入時・売却時にかかるコストは以下の3つ。
- 買付手数料
- 信託財産留保額
- 売却益への課税
買付手数料
買付手数料は、投資信託を購入する際に発生する手数料です。
ネット証券では買付手数料がきわめて低く抑えられ、買付手数料が無料の証券会社もあります。
信託財産留保額
信託財産保留額は、途中で投資信託を抜ける解約料のようなものです。
中途解約にかかるコストのため、投資信託の償還時にはかかりません。
投資信託の償還とは?
運用会社が投資信託の運用が終了し、投資家に資金を返還することです。
投資信託が期限を迎える場合や、投資家が償還を希望し、運用会社がそれに応じる場合に行われます。
たとえば信託財産保留額0.3%の投資信託を1万円で売却したら、30円が差し引かれて9,970円が戻ってきます。
売却益への課税
株式の売却で得た利益は申告分離課税の対象で、所得に関係なく一律で20%の税金がかかります。
ただ、NISA口座(非課税口座)で得た売却益に対しては課税されません。
保有時
保有時にかかるコストは以下の3つ。
- 信託報酬
- 分配金への課税
- 外国所得税
信託報酬
信託報酬は、投資信託の運用中にかかるコストです。
毎日発生し、投資信託の純資産から日割りで引かれる形になります。
例えば、信託報酬が年率1%の投資信託に10万円投資したら、信託報酬は以下のようになります。
【信託報酬が年率1%の投資信託に10万円投資した場合】
- 1年間で発生する信託報酬:約1,100円(10万円×1.0%+消費税)
- 毎日発生する信託報酬:約3円(1,100÷365+消費税)
この額が純資産から差し引かれます。
なお、信託報酬は自動的に差し引かれるため、投資家が直接支払うことはありません。
分配金への課税
投資信託の中には分配金を出す投資信託が存在し、分配金は総合課税または申告分離課税の対象です。
税率は20%ですが、NISA口座(非課税口座)を利用する場合は課税されません。
なお、外国資産(株式・不動産)に投資を行う投資信託から得られた分配金に対する課税は異なります。
外国所得税
外国資産(株式・不動産)に投資を行う投資信託から得られた分配金に対して、投資先の国ごとに所得税に相当する税金(以下「外国所得税」)がかかる場合があります。
NISA口座(非課税口座)を利用しても国内での課税(20%)は非課税にできますが、外国所得税は免除されません。
たとえば米国株型投資信託に投資する場合、分配金にかかる米国内の税金10%は課税されます。
なお、分配金は外国所得税が源泉徴収された後に入金されるので、個人が特別な手続きを取る必要はありません。
加えて、オルカンなどの分配金を配らない投資信託は、源泉徴収された後に自動で分配金が再投資されます。
課税口座(一般口座、特定口座)を利用している場合はどうなる?
課税口座を利用している場合、外国資産(株式・不動産)に投資を行う投資信託から得られた分配金に対して二重に課税されます。
たとえば米国株型投資信託に投資する場合、分配金には米国内の税金10%+国内課税20%がかかります。
なお、二重課税となっている場合は、特定口座(源泉徴収あり)でも確定申告することで米国の10%分の一部または全部を取り戻せます。
投資信託の償還日、繰上償還とは?
まず、投資信託の償還とは、投資家が投資信託からお金を引き出すことです。
投資信託は運用終了となることがあるので、その際に自分の資金を投資信託から引き出す必要があります。
次に、投資信託の償還日とは、運用期間の終了日のことを指し、目論見書などで確認することができます。
一般的にインデックス型の投資信託は無期限となっている場合が多いです。
また、償還日の有無に関わらず、特定の条件(投資信託の規模の縮小など)により償還されることを繰上償還といいます。
長期投資が目的の場合、繰上償還されることで一時的に運用がストップしてしまい、運用効率が悪くなってしまいます。
このため、繰上償還されることなく、なるべく長く運用が続く投資信託を選ぶことが重要です。
【繰上償還のリスクが低い投資信託の目安】
- 基準価額が3,000円以上
- 純資産額が50億円以上
- 純資産額が増え続けている
まとめ
今回は投資信託とは何かやETFとの違いについて解説しました。
- 投資信託とは?
- 投資信託とETFの違い
- 投資信託とETFどっちに投資すべき?
- 投資信託の運用方法
- 投資信託の購入・運用にかかるコスト
- 投資信託の償還日、繰上償還とは?