ウォーレン・バフェット氏の助言「資産の90%をS&P500に投入せよ」は参考になる?
このような悩みに答えます。
- ウォーレン・バフェットの助言・遺言
- ウォーレン・バフェットがS&P500を推奨する理由
- ウォーレン・バフェットが推奨するS&P500の魅力
- ウォーレン・バフェットの助言・遺言は参考になる?
「投資の神様」と称されるウォーレン・バフェット氏は、数十年にわたって株式市場で圧倒的な成功を収めてきた、世界でも最も著名な投資家の一人です。
そんなウォーレン・バフェット氏が一般投資家に推奨するのが、資産の90%をS&P500に投入して長期投資する方法です。
米国経済全体の成長を享受できるS&P500は、個別株を選ぶ手間やリスクを避けつつ、分散されたポートフォリオを手に入れるためのシンプルかつ強力な手段です。
実際、ウォーレン・バフェット氏自身が死後の資産運用としてS&P500に資金を託すよう指示していることからも、その信頼の深さが伺えます。
本記事では、助言・遺言である「資産の90%をS&P500に投入せよ」が参考になるのかについて解説します。
なお、S&P500に投資するには証券口座の開設が必要です。
まだ口座を開設していない方はこれを機に開設しておきましょう。
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ウォーレン・バフェットの助言・遺言
ウォーレン・バフェット氏は、S&P500に9割、残り1割を米国短期国債に投資するよう助言しています。
S&P500とは?
S&P500は、ニューヨーク証券取引所やナスダックなどに上場している主要500銘柄の時価総額を加重平均し、指数化したものです。
簡単に言うと、米国の証券取引所に上場している時価総額の高い企業を500社集めたものですね。
S&P500にはGAFAやマイクロソフトなど米国を代表する企業が名を連ねているので、S&P500に連動する投資信託を購入することで米国企業上位500社に投資するのと同じ効果が得られます。
投資会社である「バークシャー・ハサウェイ」の株主に送った2013年の「株主への手紙」の中で、以下のように述べています。
My advice to the trustee could not be more simple: Put 10% of the cash in short-term government bonds and 90% in a very low-cost S&P 500 index fund. (I suggest Vanguard’s.) I believe the trust’s long-term results from this policy will be superior to those attained by most investors – whether pension funds, institutions or individuals – who employ high-fee managers.
引用:2013年のバークシャー・ハサウェイの「株主への手紙」
私のアドバイスは、これ以上ないほどシンプルです。現金の10%を短期国債に、90%を非常に低コストのS&P500インデックスファンドに投資してください。(私はバンガードをお勧めします。)この方針による信託の長期的な結果は、高額な手数料の運用者を雇うほとんどの投資家(年金基金、機関投資家、個人を問わず)が達成する結果よりも優れていると私は信じています。
また、ウォーレン・バフェット氏は妻に「遺産の1割は米国短期国債に、残り9割はS&P500に連動するインデックスファンドに投資しなさい」という遺言を残しています。
ウォーレン・バフェット氏がS&P500に信頼をおいていることがわかります。
ウォーレン・バフェットがS&P500を推奨する理由
ウォーレン・バフェットがS&P500を推奨する理由は以下の2つ。
- インデックス投資の方が優れている
- 米国の事業は成長し続けている
①インデックス投資の方が優れている
My advice to the trustee could not be more simple: Put 10% of the cash in short-term government bonds and 90% in a very low-cost S&P 500 index fund. (I suggest Vanguard’s.) I believe the trust’s long-term results from this policy will be superior to those attained by most investors – whether pension funds, institutions or individuals – who employ high-fee managers.
引用:2013年のバークシャー・ハサウェイの「株主への手紙」
私のアドバイスは、これ以上ないほどシンプルです。現金の10%を短期国債に、90%を非常に低コストのS&P500インデックスファンドに投資してください。(私はバンガードをお勧めします。)この方針による信託の長期的な結果は、高額な手数料の運用者を雇うほとんどの投資家(年金基金、機関投資家、個人を問わず)が達成する結果よりも優れていると私は信じています。
「高額な手数料の運用者を雇うほとんどの投資家」は、アクティブ投資を指しますが、その8割はインデックスファンドの成績を下回っています。
インデックス投資、アクティブ投資とは?
- インデックス投資:日経平均株価やS&P500など特定の株価指数に連動するように運用される手法です。例えば、日経平均株価を対象にした投資信託は採用されている225銘柄全てを組み入れて運用します。なお、特定の株価指数に連動する投資信託はインデックスファンドと呼ばれます。
- アクティブ投資:銘柄の選定・調整を行うことで目標とする株価指数の成果を上回ることを目的とした手法です。専門知識のあるマネージャーが銘柄の選定・調整を行うので、インデックス投資より高リターンになる場合があります。なお、積極的に銘柄の選定・調整を行う投資信託はアクティブファンドと呼ばれます。
以下は20年以上に渡りアクティブファンドと目標とする株価指数のパフォーマンスを比較しているS&Pグローバルのデータです。
8割以上の確率でアクティブファンドが目標とする株価指数を下回っています。
投資のプロが銘柄を選定してもインデックス投資には高い確率で負けてしまいます。
②米国の事業は成長し続けている
Most investors, of course, have not made the study of business prospects a priority in their lives. If wise,
they will conclude that they do not know enough about specific businesses to predict their future earning power. I have good news for these non-professionals: The typical investor doesn’t need this skill. In aggregate, American business has done wonderfully over time and will continue to do so (though, most assuredly, in unpredictable fits and starts).もちろん、ほとんどの投資家は、事業の見通しを研究することを人生で優先していません。賢明な投資家は、特定の事業について十分な知識がないため、将来の収益力を予測できないと結論付けるでしょう。これらの非専門家に朗報があります。一般的な投資家には、このスキルは必要ありません。全体として、米国の事業は長年にわたって素晴らしい業績を上げており、今後もそうし続けるでしょう(ただし、間違いなく、予測できない断続的な業績を上げ続けるでしょう)。
引用:2013年のバークシャー・ハサウェイの「株主への手紙」
米国の企業は長年にわたって優れた成果を上げており、S&P500の動きを見るとその様子がよくわかります。
以下のグラフは、1880年から2020年までのS&P500の推移を示したものです。
途中で何度か大きな下落がありましたが、全体としては長期的に右肩上がりで上昇を続けています。
100年以上にわたり成長を続けており、今後も引き続き上昇が見込まれています。
ウォーレン・バフェットが推奨するS&P500の魅力
ウォーレン・バフェット氏が推奨するS&P500の魅力は以下の5つ。
- 米国の株式市場の約80%をカバー
- 銘柄入れ替えを年4回検討
- 80年間上がり続けている
- 世界規模でビジネスを行っている
- 自己資本利益率が高い
①米国の株式市場の約80%をカバー
S&P500は米国株式市場を代表する指数であり、その構成銘柄である500社は米国市場全体の時価総額の約80%をカバーしています。
この指数は様々な業種の企業を含んでおり、米国経済全体の動向を幅広く反映する指標として位置付けられています。
また、米国は世界全体の株式市場で約50%を占める巨大市場であり、S&P500は世界全体の株式市場の約40%に相当します。
②銘柄入れ替えを年4回検討
S&P500の銘柄入れ替えは、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスの指数委員会によって、年4回(3月・6月・9月・12月)ほど検討されます。
また、銘柄入れ替えが必ず年4回行われるわけではなく、企業の合併や買収、破産、経済環境が急激に変化した場合は入れ替えの頻度が高くなることがあります。
このように、投資先の銘柄を定期的に入れ替える新陳代謝を行うことで、市場環境の変化に柔軟に対応しながら、長期間にわたって成長を維持し続けているのです。
③80年間上がり続けている
以下のグラフは1880年〜2024年におけるS&P500の推移です。
短期的な価格変動を繰り返しながらも、過去80年以上にわたり上昇を続けてきており、この成長の背景には厳格な基準と定期的な銘柄入れ替えが重要な役割を果たしています。
構成銘柄は年に4回見直され、成長の見込みが低い銘柄や基準を満たさなくなった銘柄は除外されることに加え、採用されるには一定の条件をクリアしなければなりません。
【S&P500の採用条件】
- 米国企業である
- 時価総額が53億ドル以上
- 四半期連続で黒字利益を維持している
- 株に流動性があり、浮動株が発行済株式総数の50%以上ある
このような適切な銘柄入れ替えや徹底した管理プロセスが、S&P500の持続的なハイパフォーマンスを支える要因の一つと言えるでしょう。
④世界規模でビジネスを行っている
米国企業はグローバルな視点でビジネスを展開しており、、2020年におけるS&P500構成企業の海外売上高比率は28.7%に達しています。
【S&P500構成企業の海外売上高比率】
- アジア・オセアニア:10.8%
- 欧州:10.5%
- 南北アメリカ(米国を除く): 4.9%
- アフリカ・中東:2.4%
- オセアニア:1.4%
このようなグローバル展開により、米国企業にとって新たな収益源を確保するだけでなく、米国以外の地域が成長してもその成長を取り込めます。
また、特定の地域や国の経済が一時的に低迷した場合でも、他地域での成功が企業全体の成長を支える可能性があります。
⑤自己資本利益率が高い
自己資本利益率(ROE)は、自己資本(株式発行による資金、企業が過去に蓄積した利益など)をどれだけ効率的に生かして利益を出したかを示す指標です。
一般的に、自己資本利益率(ROE)が高い企業ほど、株主から提供された自己資本を効率的に活用して収益を上げる能力が高いとされています。
過去20年間におけるS&P500と東証株価指数(TOPIX)の自己資本利益率を比較すると、S&P500の方が約2倍ほど高い水準を維持していることがわかります。
米国企業の利益率が高い要因として、研究開発に多額の投資を行っていることが挙げられ、米国企業は得た利益を研究開発や設備投資に利用しています。
このような取り組みは、新しい技術や製品、サービスの開発を促進し、競争力の強化につながっています。
研究開発への積極的な資金投入はイノベーションを生み出す原動力となり、これが企業全体の成長を支える好循環を形成しています。
ウォーレン・バフェットの助言・遺言は参考になる?
S&P500に90%投資することは高リスク
ウォーレン・バフェット氏は、資産の90%をS&P500に投資することを推奨しています。
ですが、S&P500に90%も投資するのはかなりリスクが高く、主なリスクとして以下の3つが考えられます。
①米国経済の衰退
以下のグラフは、世界の株式市場における国別の割合を示したものです。
1990年以降、IT革命を皮切りに米国の経済は顕著な成長を遂げ、世界の株式市場における占有率を大幅に高めてきました。
米国は技術革新や消費市場の規模の大きさ、そして安定した政治・経済体制などの要因によって、グローバルな投資家から引き続き注目を集めています。
人口に関しても、米国の人口は今後も増加することが予測されており、それに伴い消費や労働力の拡大が期待されています。
これにより、米国経済は引き続き世界経済の中心的な役割を果たし、株式市場においてもその存在感を維持し続けるでしょう。
しかし、過去の成長が未来を約束するわけではなく、政治的リスクや地政学的な緊張、さらにはインフレ率の上昇や技術分野での競争激化といった課題も存在します。
こうした要因は、米国経済の成長速度を鈍化させるだけでなく、企業の競争力や雇用創出能力に悪影響を及ぼす可能性もあります。
②為替による変動
S&P500は米国株式で構成されているため、為替相場の変動が投資リターンに大きな影響を与えます。
特に、円安や円高といった為替の変動がドル建て資産の価値を直接的に変化させ、日本円での投資リターンを左右します。
円安の局面では、円換算で高くなるためリターンが増加する一方で、円高になると円換算で下落し、リターンが減少します。
ただ、為替リスクはS&P500に限ったことではなく、全世界株式などにも共通する課題であり、全世界株式には日本株が5%ほどしか含まれていません。
約60%を米国株が占めています。
S&P500ほどではないにしろ、全世界株式もドルの影響を受け、円安が続けばリターンが増加し、円高に転じるとリターンが低下する可能性があります。
③新興国の成長に対応できない
インドやナイジェリアなどの新興国は、今後大きな経済成長を遂げる可能性を秘めています。
特にインドは、その成長が著しく、2025年には名目GDPで世界第4位、さらに2027年には第3位に躍進する見通しが立てられています。
2020年時点でS&P500構成企業の海外売上高比率は28.7%に達していますが、これはすべての新興国市場の成長を十分に反映するものではありません。
また、過去を振り返ると、米国株が常に優位に立ってきたわけではありません。
例えば、2000年代においては、米国株が低迷する一方で、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)を中心とする新興国株が大きく成長し、米国株を凌駕した時期もありました。
S&P500のみに投資する場合、米国市場に集中投資することになるため、新興国市場の成長を取り込むことが難しくなります。
リスク承知なら90%投資も選択肢の1つ
S&P500に資産の90%を投資するという選択は、かなりリスクが高いです。
しかし、上記のリスクを十分に把握し、理解しているのであれば、あえてS&P500に集中投資することも選択肢の一つです。
実際、S&P500はリーマンショックのような大規模な金融危機において大幅に下落しましたが、その後の市場回復により、現在も右肩上がりを維持しています。
こうした動きを支えているのは、厳格な選定基準と定期的な銘柄見直しです。
S&P500は、成長力のある企業を取り入れ、常に市場の変化に対応しているため、過去140年間にわたり安定したリターンを生み出し続けています。
長期的な視点で見ると、リーマンショックのような短期的な市場の混乱を乗り越えたS&P500は、引き続き信頼性の高い指数と言えます。
まとめ
今回はウォーレン・バフェット氏の助言・遺言は参考になるのかについて解説しました。
- ウォーレン・バフェットの助言・遺言
- ウォーレン・バフェットがS&P500を推奨する理由
- ウォーレン・バフェットが推奨するS&P500の魅力
- ウォーレン・バフェットの助言・遺言は参考になる?
ウォーレン・バフェット氏は、資産の90%をS&P500に投資することを推奨しています。
この助言は、米国経済全体の成長に対する強い信頼を基盤としていますが、一方でリスクも無視できません。
S&P500に大半の資産を投じることは、米国経済が衰退した場合に大きな損失を被る可能性がありますし、為替の変動や新興国経済の成長に対しても十分に対応できないリスクがあります。
とはいえ、これらのリスクを理解し、適切に認識しているのであれば、あえてS&P500に集中投資することも一つの戦略です。
また、リスク分散を考えるなら、S&P500だけでなく、全世界に投資できる全世界株式も選択肢に入れるべきでしょう。
なお、S&P500や全世界株式に投資するには証券口座の開設が必要です。
まだ口座を開設していない方はこれを機に開設しておきましょう。
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