新NISAとiDeCoの違いは?どっちを利用すべき?
このような悩みに答えます。
- NISAとは?
- 旧NISAと新NISAの違い
- iDeCoとは?
- 新NISAとiDeCoの違い
- 新NISAのメリット
- 新NISAのデメリット
- iDeCoのメリット
- iDeCoのデメリット
- 新NISAとiDeCoどっち?
- 新NISAの始め方
- 新NISA・iDeCoに関するQ&A
新NISAとiDeCoは、資産形成を考える上で非常に重要な選択肢です。
それぞれに異なるメリットとデメリットがあり、投資目的やライフスタイルに応じて適切な選択をすることが求められます。
どちらも運用益が非課税となりますが、新NISAは柔軟性が高く、幅広い資産運用が可能な一方で、iDeCoは老後資金の確保に特化した制度です。
本記事では、両者の基本情報やメリット・デメリット、どちらを選ぶべきかについて詳しく解説します。
なお、新NISAを始めるには証券口座を開設する必要があります。
まだ口座を開設していない方はこれを機に開設しておきましょう。
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NISAとは?
NISAとは少額投資非課税制度のことで、株や投資信託を売却して利益が出た際に課税されない制度です。
投資を行うには証券口座を利用する必要があり、証券口座には課税口座(一般口座と特定口座)とNISA口座(非課税口座)があります。
課税口座で投資を行い利益を得たら20%の税金がかかりますが、NISA口座で投資を行えば税金がかかりません。
口座の種類 | 確定申告 | 年間取引報告書 | |
課税口座 | 一般口座 | 必要 | 自分で作成 |
特定口座(源泉徴収あり) | 原則不要 | 証券会社が作成 | |
特定口座(源泉徴収なし) | 譲渡益が発生した場合は必要 | 証券会社が作成 | |
NISA口座(非課税口座) | なし | なし |
特定口座(源泉徴収あり)と特定口座(源泉徴収なし)の違いは?
源泉徴収とは本来自分で納めるべき税金を証券会社が利益から引いて納めてくれること。
源泉徴収ありの場合、確定申告の手間が省けるというメリットがあります。
また、源泉徴収なしの場合、他の証券口座と損益通算をできたり、損失を来年以降に繰り越せるというメリットがあります。
これから投資を始めたい方は特定口座(源泉徴収あり)とNISA口座を開設しておくと良いでしょう。
旧NISAと新NISAの違い
旧NISAと新NISAの違いは以下のとおり。
旧NISA | 新NISA | |||
つみたてNISA | 一般NISA | つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
併用の可否 | 併用不可 | 併用可 | ||
年間投資枠 | 40万円 | 120万円 | 120万円 | 240万円 |
非課税保有期間 | 20年間 | 5年間 | 無期限 | 無期限 |
非課税保有限度額 | 800万円 | 600万円 | 1,800万円(成長投資枠は1,200万円まで) | |
口座開設期間 | 2023年まで | 2023年まで | 恒久化 | |
投資対象商品 | 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 | 上場株式・投資信託等 | 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 | 上場株式・投資信託等(除外条件あり) |
対象年齢 | 18歳以上 |
つみたて投資枠、成長投資枠とは?
つみたて投資枠は、旧制度のつみたてNISAを引き継いだ枠です。
長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託に投資することができ、対象商品はつみたてNISAと同じです。
成長投資枠は、旧制度の一般NISAを引き継いだ枠で、つみたて投資枠の対象商品はもちろん、対象外の投資信託や株式にも投資をすることができます。
ただ、一般NISAよりも対象商品は制限されます。
新NISAの変更点について詳しく解説します。
①非課税保有期間の無期限化
旧NISAの保有期間は一般NISAで5年間、つみたてNISAで20年間です。
新NISAではつみたて投資枠も成長投資枠も無期限となります。
②口座開設期間の恒久化
旧NISAでは口座を開設して投資をすることができる期間が2023年までと決められていました。
このため、口座開設や投資開始時期が遅れるとNISAの恩恵を最大限受けられなくなってしまう事態が起り得ました。
しかし、口座開設期間が恒久化したことで、いつから始めても非課税保有限度額まで投資ができるようになったのです。
③非課税保有限度額の拡大&再利用可
旧NISAでの非課税保有限度額はつみたてNISAで800万円、一般NISAで600万円です。
一方、新NISAでの非課税保有限度額は1,800万円(成長投資枠は1,200万円)となっています。
また、新NISAで保有している商品を売却した場合、その分の簿価金額(買い付けた価格のこと)だけ翌年に非課税保有限度額が復活して再利用可能です。
例えば、新NISAで50万円購入した商品が倍の100万円になった時に20万円売却した場合、10万円枠を再利用できます。
なお、新NISAでは成長投資枠の上限が1,200万円となっていますが、つみたて投資枠の上限は1,800万円までです。
そのため、以下のような使い分けも可能です。
- 全てつみたて投資枠
1,800万円を全てつみたて投資枠で運用。ただ、つみたて投資枠の上限は120万円/年であるため、使い切るのに15年はかかります。 - 全て成長投資枠
1,800万円を全てつみたて投資枠で運用。ただ、つみたて投資枠の上限は240万円/年であるため、使い切るのに7.5年はかかります。 - つみたて投資枠と成長投資枠の併用
例えば、つみたて投資枠(600万円)+成長投資枠(1,200万円)で運用。他にも、つみたて投資枠(900万円)+成長投資枠(900万円)などの組み合わせもあります。
④年間投資上限額の拡大
旧NISAの年間投資上限額はつみたてNISAが40万円、一般NISAが120万円です。
一方、新NISAはつみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円です。
新NISAはつみたて投資枠と成長投資枠が併用できるため、最大360万円が年間投資額の上限になります。
⑤つみたて投資枠と成長投資枠の併用可
旧NISAでは、つみたてNISAと一般NISAは併用することができませんでした。
しかし、新NISAではつみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能になったため、どちらか片方を選ぶ必要もなく、旧NISAよりも柔軟に投資を行えます。
iDeCoとは?
iDeCoの概要
iDeCoは、自分で年金を準備するための制度で、毎月一定額を積み立てて運用し、60歳以降に受け取れる仕組みです。
年金は、国民年金や厚生年金などの「公的年金」と、個人や企業が自主的に積み立てる「私的年金(確定拠出年金)」の2種類に分けられます。
私的年金には「確定給付企業年金」の他に、「個人型確定拠出年金(iDeCo)」と「企業型確定拠出年金」の2つがあります。
個人型確定拠出年金(iDeCo) | 企業型確定拠出年金 | |
運営主体 | 国民年金基金連合会 | 企業型確定拠出年金規約の承認を受けた企業 |
加入対象者 | 国民年金被保険者 | 企業型確定拠出年金を導入している企業の従業員 |
対象年齢 | 20〜60歳(任意保険加入者や厚生年金の被保険者は最長65歳まで加入可能) | 70歳未満(企業によって加入できる年齢などが異なる) |
掛金(投資額) | 本人負担 | 会社負担 |
掛金納付方法 | 本人口座から振替(第2号被保険者の方で事業主払込の場合は、掛金は給与天引き) | 会社より納付 |
運用商品 | 金融機関により異なる | 会社共通の商品ラインアップ |
手数料 | 本人負担 | 会社負担 |
税制 | 掛金は全額所得控除(所得税・住民税軽減) 運用収益は非課税 | 事業主掛金は所得とみなされない 運用収益は非課税 |
確定申告 | 必要(第2号被保険者の方で事業主払込の場合は不要) | 不要 |
なお、iDeCoでの掛金(投資額)は、職業や企業型確定拠出年金との併用状況によって異なります。
iDeCoでの掛金(投資額)については後述します。
iDeCoでの掛金(投資額)
以下の表は、iDeCoで職業ごとに設定されている掛金(投資額)を示したものです。
加入資格 | 加入対象 | 掛金(投資額) | |
自営業者(第1号被保険者) | 日本国内に居住している20歳以上60歳未満の自営業者、フリーランス、学生など | 月額6.8万円 | |
会社員公務員等(第2号被保険者 | いずれにも加入していない | 60歳未満の厚生年金の被保険者(会社員、公務員)の方 | 月額2.3万円 |
企業型確定拠出年金のみ加入 | 月額2.0万円 | ||
企業型確定拠出年金と確定給付企業年金に加入 | 月額1.2万円 | ||
確定給付企業年金のみに加入 | |||
公務員等 | |||
専業主婦(夫)(第3号被保険者) | 20歳以上60歳未満の厚生年金に加入している方の被扶養配偶者の方 | 月額2.3万円 |
自営業者の場合は月に6.8万円、専業主婦(夫)の場合は月に2.3万円までの投資が可能です。
会社員や公務員の投資可能額は、企業型確定拠出年金や確定給付企業年金の利用状況に応じて変動します。
新NISAとiDeCoの違い
新NISA | iDeCo | ||
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | ||
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 | 自営業者等:81.6万円 会社員・公務員等:14.4〜27.6万円 専業主婦(夫):27.6万円 |
非課税期間 | 無期限 | 運用期間中 | |
非課税保有限度額 | 1,800万円 | なし | |
投資対象商品 | 長期の積立分散投資に適した投資信託 | 上場株式・投資信託など(除外条件あり) | 元本確保型商品(定期預金や保険商品等)と投資信託 |
対象年齢 | 18歳以上 | 20〜60歳(任意保険加入者や厚生年金の被保険者は最長65歳まで加入可能) | |
手数料 | 口座開設手数料等はかからない(購入時手数料や売買手数料がかかる場合がある) | 加入・移換時手数料:2,829円(初回1回のみ) 加入者手数料:105円+66円(毎月) 運営管理手数料:0〜数百円 受取時手数料:440円(振込の都度) | |
資金の引き出し | いつでも可能 | 60歳まで原則不可 | |
掛金の所得控除 | 控除なし | 掛金の所得控除 | |
受取時の控除 | 控除なし | 年金で受給:公的年金等控除 一時金で受給:退職所得控除 | |
確定申告 | 不要 | 必要 |
①年間上限額
新NISA | iDeCo |
360万円 | 81万6000円 |
新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠を合算することで、年間最大360万円まで投資できます。
iDeCoは加入者の職業や条件によって年間の拠出限度額が異なり、最も拠出額が大きいのは自営業者で、年間81万6,000円まで積み立てることが可能。
会社員の場合、iDeCoの拠出限度額は自営業者ほど高くなく、月額2万3,000円、年間では27万6,000円が上限となります。
そのため、特に会社員にとっては、新NISAの方が年間投資可能額がはるかに大きく、非課税で運用できる総額もiDeCoに比べて優れています。
②投資対象商品
新NISA | iDeCo | |
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | 元本確保型商品(定期預金や保険商品等)と投資信託 |
長期の積立分散投資に適した投資信託 | 上場株式・投資信託など(除外条件あり) |
新NISAの積立投資枠では、金融庁が定める基準を満たす投資信託のみが対象です。
成長投資枠は一部除外条件があるものの、その他の投資信託や上場株式も含まれています。
一方、iDeCoの商品は「元本確保型商品」と「投資信託」の2つのカテゴリーに分かれます。
【元本確保型商品】
元本確保型商品は元本が保証され、定期預金や保険商品が該当しますが、これらは新NISAでは扱われていません。
【投資信託】
もう1つのカテゴリーである投資信託については、通常の投資信託に加えて、DC(確定拠出年金)専用の投資信託も存在しています。このDC専用投資信託は、iDeCo専用に設計された商品であり、一般的な投資信託とは異なる特徴を持っています。
新NISAとiDeCoの対象商品を比較すると、新NISAではラインナップが豊富で、投資信託や上場株式といった幅広い商品が選択肢に入ります。
iDeCoの対象商品数は新NISAと比べると限られているため、選択肢の幅広さという観点では新NISAが優れていると言えるでしょう。
③対象年齢
新NISA | iDeCo |
18歳以上 | 20〜65歳まで |
新NISAは、日本に居住する18歳以上の方が対象です。
年齢の上限は特に定められておらず、日本に住んでいる18歳以上であれば誰でも利用可能です。
一方、iDeCoは20歳から65歳までの方が対象となります。
以前は60歳までしか加入できませんでしたが、2022年の法改正により、加入可能な年齢が拡大され、以下の条件に該当する方も新たに加入できるようになりました。
- 60歳以上65歳未満の会社員や公務員などの国民年金第2号被保険者
- 60歳以上65歳未満で国民年金に任意加入している方
- 国民年金に任意加入している海外居住者
④手数料
新NISA | iDeCo |
口座開設手数料等はかからない(購入時手数料や売買手数料がかかる場合がある) | 加入・移換時手数料:2,829円(初回1回のみ) 加入者手数料:105円+66円(毎月) 運営管理手数料:0〜数百円 受取時手数料:440円(振込の都度) |
新NISAでは、口座開設手数料などは発生しませんが、商品を購入する際には注意が必要です。
例えば、投資信託を購入する場合は購入時手数料がかかることがあり、株式を購入する際も売買手数料が発生する場合があります。
一方、iDeCoでは、まず加入や移換の際に一度だけ2,829円の手数料がかかります。
さらに、国民年金基金連合会に105円、信託銀行に66円がそれぞれ毎月かかるほか、場合によっては金融機関に対しても手数料の支払いが必要です。
加えて、受取時には振込ごとに440円の手数料が発生するため、iDeCoの方が多くの場面で手数料がかかる点に注意が必要です。
⑤資金の引き出し
新NISA | iDeCo |
いつでも可能 | 60歳まで原則不可 |
新NISAでは、投資した資金をいつでも自由に引き出すことができます。
例えば、生活費の不足や緊急の医療費など、予期せぬ状況が発生した場合でも、必要なタイミングで資金を手元に戻すことが可能です。
一方で、iDeCoは、主に老後資金の積立を目的とした制度であるため、原則として60歳まで資金を引き出すことができません。
この制限は、長期間にわたり計画的な資産運用を促進するための仕組みとして設けられています。
そのため、老後の生活費をしっかりと準備するためには非常に有効な手段ですが、途中で資金が必要になった場合には対処できません。
⑥掛金の所得控除
新NISA | iDeCo |
控除なし | 掛金の所得控除 |
掛金とは、NISAやiDeCoといった投資や年金制度に対して、定期的に支払うお金のことを指します。
簡単に言うと、これらの制度に積み立てるお金のことです。
新NISAでは、掛金を所得から差し引くこと(所得控除)はできないため、所得税等は減りません。
iDeCoでは、運用益が非課税であることに加え、掛金を支払うとその金額が所得から差し引かれるため、所得税や住民税が減ります。
⑦受取時の所得控除
新NISA | iDeCo |
控除なし | 年金で受給:公的年金等控除 一時金で受給:退職所得控除 |
新NISAでは、受取時の控除は設けられていませんが、iDeCoの場合、受け取り方によって控除が異なります。
【年金で受給】
公的年金等控除:iDeCoを年金として受け取る場合、一定の控除があります。これは、年金を受け取る際に、所得の一部が控除されることを意味します。控除があることで、税金が軽減されます。
【一時金で受給】
退職所得控除:一時金として受け取る場合は、退職所得控除が適用されます。これは、退職時に受け取るお金に対して適用される控除で、一時金の金額の一部が課税対象から外れます。これにより、税金を減らすことができます。
掛金や受取時の所得控除などの税制面において、iDeCoは新NISAよりも有利と言えるでしょう。
⑧確定申告
新NISA | iDeCo |
不要 | 必要 |
新NISAでは確定申告を行う必要はありませんが、iDeCoでは掛金が所得控除の対象となるため、確定申告が必要です。
iDeCoで積み立てた資産を60歳以降に受け取る際、年金形式であれば「公的年金等控除」が、また一時金で受け取る場合には「退職所得控除」が適用されますが、これらの控除を受けるために申告が必要です。
したがって、新NISAでは煩雑な税務手続きが避けられる一方、iDeCoでは節税効果を享受するために、適切な申告が欠かせません。
新NISAのメリット
新NISAのメリットは以下の3つ。
- 非課税枠は再利用できる
- 投資対象商品が多い
- いつでも資金を引き出せる
①非課税枠は再利用できる
新NISAでは、資産を売却すると、その年に使った非課税枠が復活する仕組みになっています。
具体的に、もし保有している資産を3月に売却した場合、その非課税枠は翌年の2月から再利用が可能。
このため、売却後すぐに新たな投資を行うことはできませんが、翌年には再び非課税枠を活用して投資を行えます。
また、重要な点として、非課税枠の復活は売却した金額ではなく、元々の購入金額を基準に行われます。
例えば、購入時に1,000万円分の資産を取得し、その資産が値上がりして1,800万円になった場合でも、全てを売却して得た1,800万円が非課税枠に反映されるわけではありません。
翌年の非課税枠として復活するのは、あくまで元々購入した際の1,000万円です。
②投資対象商品が多い
新NISAでは、個人投資家が選択できる投資商品が多岐にわたります。
具体的には、投資信託やETF(上場投資信託)、債券、個別株などが含まれています。
特に、投資信託に関しては、2,000本以上の多彩な商品が対象となっており、自分のリスク許容度や投資目的に応じた選択が可能です。
③いつでも資金を引き出せる
新NISAでは、投資した資金をいつでも引き出すことができます。
正確には、投資した商品(株式や投資信託など)を売却して、その売却金を引き出すことができるという意味です。
この柔軟性は、他の投資信託を購入したい場合や、既存の投資信託を売却したいときに有益です。
また、柔軟性が高く、将来的に別の投資戦略を採用することも容易であることから、初めて投資を行う人でも安心してスタートできます。
新NISAのデメリット
新NISAのデメリットは以下の2つ。
- スイッチングができない場合がある
- いつでも資金を引き出せる
①スイッチングができない場合がある
スイッチングとは、投資信託を売却し、その資金を使って新しい投資信託を購入することです。
新NISAおいて、年間の非課税投資枠が余っている場合、その範囲内で新たに入れ替えたい商品を購入することができます。
しかし、年間の投資枠がすでに使い切られている場合は、新たに購入することはできず、翌年に非課税枠の範囲内で新たな投資を行うことになります。
②いつでも資金を引き出せる
投資のリスクを抑えるためには、長期投資が非常に重要です。
しかし、いつでも資金を引き出せるという特性は、長期投資を妨げる要因になり得ます。
特に、株式市場が下落相場に入った場合には、損失を避けるために、資金を早々に引き出すことを選ぶ傾向があります。
このような行動は、短期的な視点に囚われてしまい、長期的に見れば将来的な利益を得る機会を逃してしまうことにつながってしまうでしょう。
iDeCoのメリット
iDeCoのメリットは以下の3つ。
- 掛金を全額控除できる
- 強制的に老後資金を貯められる
- 元本確保型の商品を選べる
①掛金を全額控除できる
iDeCoの掛金は全額が所得控除の対象となるため、税金を軽減できます。
軽減される税額は、次の計算式で求められます:(掛金×所得税率)+(掛金×住民税率)
たとえば、所得税率が5%の人が年間36万円を掛けた場合、所得税は1万8000円減少します。
住民税は一律10%なので、3万6000円が軽減され、所得税と住民税を合わせて年間で合計5万4000円の税負担が軽減されることになります。
②強制的に老後資金を貯められる
iDeCoの特徴の一つは、その資産が原則として60歳になるまで引き出せないという点です。
この制約は、一見するとデメリットのように思えるかもしれませんが、老後資金を確実に積み立てるためには非常に効果的な仕組みといえます。
老後に必要な資金の準備を後回しにしがちですが、iDeCoを利用することで、強制的かつ自動的に資産を形成することが可能。
この制度により、定期的に掛金が積み立てられ、利用者が必要な時期に無駄に資金を引き出してしまうリスクを軽減します。
③元本確保型の商品を選べる
iDeCoでは、定期預金や保険商品などの元本が保証されている投資商品を選べます。
このため、リスクを避けたいと考えている場合にも非常に適した制度と言えるでしょう。
特に、金融市場の動向に左右されずに、安定したリターンを得たいと考える方にとって、元本確保型の選択肢は安心材料となります。
iDeCoのデメリット
iDeCoのデメリットは以下の2つ。
- 口座の開設や管理に手数料がかかる
- 誰でも加入できるとは限らない
①口座の開設や管理に手数料がかかる
iDeCoの口座開設や管理には、さまざまな手数料がかかります。
- 加入・移換時手数料:2,829円(初回1回のみ)
- 加入者手数料:105円+66円(毎月)
- 運営管理手数料:0〜数百円
- 受取時手数料:440円(振込の都度)
複数の手数料が存在し、それぞれの金額や条件が異なるため、全体的に複雑でわかりづらいと言えるでしょう。
②誰でも加入できるとは限らない
iDeCoは、非常に魅力的な制度ですが、全員が加入できるわけではありません。
この制度に加入するためには、いくつかの条件を満たす必要があり、以下のような方々はiDeCoに加入できません。
- 国民年金保険料を払い込んでいない方
- 65歳以上の方
- 農業者年金に加入している方
新NISAとiDeCoどっち?
新NISAを選ぶべき
新NISAとiDeCoのどちらを選ぶべきか迷っている場合、新NISAを選ぶべきです。
新NISAでは年間360万円まで投資できることに加え、株式や投資信託、ETFなど多様な投資対象商品があり、自分のリスク許容度や投資目的に合った商品を選べます。
資金の引き出しに関しても、いつでも引き出すことができ、将来的な投資戦略の変更に柔軟に対応可能です。
一方で、iDeCoは原則として60歳まで資金を引き出せないため、不便さを感じることがあるでしょう。
iDeCoは税制面で優遇措置が大きいですが、その仕組みや手数料が複雑で、理解しにくい部分も多くあります。
このため、投資を始める際の不安を軽減し、自分に合った投資を選べる新NISAをおすすめします。
iDeCoまたは併用を選ぶのもあり
ただ、iDeCoまたはその併用を選ぶことも有意義な選択肢です。
iDeCoには資金を60歳まで引き出せないというデメリットがありますが、その一方で、強制的に投資を行えるといメリットも存在します。
特に、投資のリスクを抑えるためには、相場の変動による影響を抑えられる長期的投資が非常に重要となります。
また、iDeCoでは元本確保型商品などの低リスクな投資商品を選ぶことができるため、リスクを抑えつつ安定した資産形成を図ることが可能です。
リスクを抑えたいと考える方や、強制的に老後資金を貯めたい方は、iDeCoを選択するのも良いでしょう。
加えて、新NISAとiDeCoは併用が可能であるため、どちらか一方を選べない場合には、両方を組み合わせて利用するのも選択肢の一つです。
自分の投資目標やライフスタイルに応じて、最適な選択肢を検討することが重要です。
新NISAの始め方
新NISAの始め方は以下のとおり。
- 証券口座を開設する
- ポートフォリオを決める
- 投資信託を積立購入する
①証券口座を開設する
投資信託を購入するには証券口座を開設する必要があります。
多くのネット証券ではNISA口座での取引手数料が無料になったので、使用するクレジットカードによって証券口座を選ぶと良いでしょう。
NISA口座(非課税口座)とは?
証券口座には課税口座(一般口座と特定口座)とNISA口座(非課税口座)があります。
課税口座で投資を行い利益を得たら20%の税金がかかりますが、NISA口座で投資を行えば税金がかかりません。
三井住友カード利用者 | SBI証券 >> SBI証券のメリット・デメリットについて解説 |
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au PAY カード利用者 | auカブコム証券 >> auカブコム証券のメリット・デメリットについて解説 |
dカードまたは上記3つ以外のカード利用者 | マネックス証券 >> マネックス証券のメリット・デメリットについて解説 |
クレジットカードで積立するとポイントが還元されます。
なお、マネックス証券のポイント還元率は1.1%とトップクラスの還元率を誇ります。
三井住友カードや楽天カード、au PAY カードを持っていない方は、マネックスカードを作成してマネックス証券を利用すると良いでしょう。
②ポートフォリオを決める
ポートフォリオとは、どれくらいの配分で金融商品の具体的な銘柄へ投資するかという組み合わせを指します。
当サイトで推奨しているポートフォリオは以下の3パターン。
- オルカン
- オルカン+インド
- オルカン+債券
※オルカンとは、三菱UFJアセットマネジメントが運用する「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」のことです。
詳しくは「新NISAにおすすめのポートフォリオについて解説」をご覧ください。
新NISAでは投資信託(複数の投資家から資金を集め、専門のファンドマネージャーが運用する投資商品)を利用すると良いでしょう。
③投資信託を積立購入する
ポートフォリオを決めたら投資信託を積立購入します。
つみたて投資枠、成長投資枠とは?
新NISAでは、年間投資枠120万円の「つみたて投資枠」と年間投資枠240万円の「成長投資枠」が設けられています。
つみたて投資枠ではつみたて投資のみ行えますが、成長投資枠では一括投資とつみたて投資の両方が可能です。
そのため、つみたて投資に年間最大360万円あてることもできます。
なお、新NISAにおける非課税保有限度枠は1,800万円であり、最短5年で全ての枠を埋められます。
新NISA・iDeCoに関するQ&A
新NISAとiDeCoは併用できる?
新NISAとiDeCoは併用可能ですが、併用する際は両制度の特性を理解したうえで戦略を立てることが重要です。
新NISAは運用中の柔軟性が高く、非課税期間中にいつでも売却や引き出しが可能であるため、緊急時やライフイベントに備えた資金の確保に向いています。
一方、iDeCoは60歳まで引き出せないという制約があります、老後資金を計画的に積み立てるためには最適です。
新NISAは年の途中から始められる?
新NISAは年の途中からでも始められます。
ただ、つみたて投資枠は毎月10万円までと決まっているので、途中からでは全ての枠を埋められません。
翌年になれば全ての枠を埋められるようになります。
新NISAはいつから始めるべき?
新NISAは、早めに始めることをおすすめします。
投資期間が長くなるほど、複利効果がより一層強まるため、時間を味方につけた資産形成が可能です。
特にネット証券では、100円程度の少額からでも積立投資を始めることができるため、まとまった資金がなくても安心して投資をスタートできます。
できるだけ早く行動に移し、少額でもコツコツと積み立てることで、将来的に大きなリターンを期待することができるでしょう。
まとめ
今回は新NISAとiDeCoどっちを利用すべきかについて解説しました。
- NISAとは?
- 旧NISAと新NISAの違い
- iDeCoとは?
- 新NISAとiDeCoの違い
- 新NISAのメリット
- 新NISAのデメリット
- iDeCoのメリット
- iDeCoのデメリット
- 新NISAとiDeCoどっち?
- 新NISAの始め方
- 新NISA・iDeCoに関するQ&A
基本的には、新NISAを選ぶことをおすすめします。
新NISAは年間投資額が多く設定されていることに加え、投資に対する柔軟性も高い点が大きな魅力です。
しかし、リスクを抑えたい場合や、老後資金を強制的に積み立てたいと考えている場合は、iDeCoを選ぶのも良いでしょう。
また、どちらか一方を選ぶことが難しいと感じる場合には、両者を組み合わせて利用するのも良い選択肢の一つです。
自分の投資目標やライフスタイルに応じて、最適な選択肢を検討することが重要です。
なお、新NISAを始めるには証券口座を開設する必要があります。
まだ口座を開設していない方はこれを機に開設しておきましょう。
【おすすめのネット証券】
三井住友カード利用者 | SBI証券 >> SBI証券のメリット・デメリットについて解説 |
楽天カード利用者 | 楽天証券 >> 楽天証券のメリット・デメリットについて解説 |
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