インド株に投資する危険・リスクは?やめといた方がいい?
このような悩みに答えます。
- インド株に投資するリスク
- インド株はやめとけと考えるのは誤り
- インド株は割安でも割高でもなく適正
- インド株のリスクを抑えるコツ
インド株は近年、急成長を遂げており、今後も大きな成長が期待される市場の一つです。
しかし、他の新興国市場と同様に、インド株に投資する際には一定のリスクが伴います。
政治的な不安定要素やインフラの未整備、通貨の変動リスクなど、注意すべき点は少なくありません。
それでも、膨大な消費者層と急増する中間層によって、インド経済はこれからも成長を続けると見込まれています。
このようなリスクとメリットを理解した上で、ポートフォリオに1割〜2割程度組み込むことで、リスクを抑えつつ高いリターンを目指すことができるでしょう。
本記事では、インド株に投資するリスクや、インド株はやめとけと考えるのは誤りである理由について解説します。
インド株のリスクを抑えるコツについても併せて解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
なお、インド株に投資するには証券口座を開設する必要があります。
まだ口座を解説していない方はこれを機に開設しておきましょう。
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インド株に投資するリスク
インド株に投資するリスクは以下の5つ。
- ルピーの下落
- 値動きが大きい
- 手数料が高い
- 新興国リスクがある
- 新興市場のため情報を得にくい
①ルピーの下落
ルピーはインドの通貨であり、1995〜2023年におけるドル/円とルピー/円の比較は以下のとおりです。
(1995年を100とする)
青線のドル/円は上下しつつも長期的には安定していますが、赤線のルピー/円は右肩下がりの傾向があります。
基本的に投資信託は為替ヘッジを行わないため、ルピーが円に対して下落した場合、インド株式のパフォーマンスが良好であっても、為替差損によって円換算でのリターンが縮小する可能性があります。
また、インドは長期にわたり貿易赤字が続いているという経済的な背景も見逃せません。(参考:日本貿易振興機構)
貿易赤字とは?
貿易赤字は他の国からの輸入額がその国からの輸出額よりも多い状態のことです。
外国からの商品やサービスを輸入する際に、外国への輸出品よりも多くのお金を支払っていることを意味します。
貿易赤字が継続すると、自国の通貨が他国の通貨に対して下落しやすくなります。
貿易赤字が拡大すると、インド国内の輸入物価の上昇が引き起こされ、これがインフレ圧力を増大させる可能性があります。
インフレが加速し、適切な対策が取られない場合、ルピーの価値が一層下落する恐れもあります。
②値動きが大きい
以下のグラフは、過去20年のインド株式と主要国・地域株式のリスク・リターン比較です。
インド株式は、他の国や地域と比べてリターンが顕著に大きい一方で、価格変動リスクも非常に高い水準にあります。
このため、インド株式はハイリスク・ハイリターンの典型例と言えるでしょう。
インド株式の値動きが他国に比べて激しいことから、リスク許容度の高い投資家でなければ長期的な保有は難しいかもしれません。
③手数料が高い
インド株に投資する際は、基本的に投資信託を通じて行うのが一般的です。
直接株式を購入するのは、取引の複雑さや手続きの煩雑さから難しいため、多くの投資家が投資信託を利用しています。
投資信託を選ぶ際に特に注目すべき点の一つが、信託報酬と呼ばれる運用・管理にかかる費用です。
たとえば、オルカンの信託報酬は約0.05775%と非常に低く、S&P500に連動する投資信託も0.05%〜0.1%程度と、低コストで提供されています。
低い信託報酬は、長期投資において運用成績に大きな影響を与えるため、コストの面から非常に魅力的な選択肢です。
一方で、インド株式型の投資信託は、他の国・地域のインデックスファンドと比べて信託報酬が高く設定されています。
具体的には、インド株式型の信託報酬は0.4%〜1.0%の範囲内にあり、他と比べて大幅に高い水準です。
【主なインド株型投資信託の信託報酬】
- eMAXIS インド株インデックス:0.44%
- SBI・iシェアーズ・インド株式インデックスファンド:0.3138%
- iFreeNEXTインド株インデックス:0.473%
- iTrustインド株式:0.9828%
この理由には、インド市場の分析や運用にかかるコストが高いことや、運用リスクが高いために手数料もリスクに見合った水準となっていることが挙げられます。
④新興国リスクがある
インド経済は順調に拡大を続けており、多くの投資家にとって魅力的な成長市場と見なされています。
しかし、今後もこの成長が持続するかどうかは確実ではありません。
特に新興国特有のリスクが存在し、これらは先進国に比べてより大きな影響を与える可能性があります。
例えば、インド国内での政治的な不安定さや、政策の急激な変更が引き起こす経済的な混乱、または社会的な問題が生じると、市場全体に多大な影響を及ぼす恐れがあります。
さらに、新興国ではインフレや通貨の急激な変動、外国投資への規制強化などもリスクとして考慮することが必要がです。
これらのリスクは、株式市場や企業の業績に直接的な影響を与えるだけでなく、外国人投資家が資本を引き上げる動きが加速することで、株価の急落につながる可能性もあります。
インドは急成長する中間層や広大な消費者市場を抱えているため、長期的な投資機会として魅力的ではありますが、こうした新興国ならではの不安定さを十分に理解することが重要です。
⑤新興市場のため情報を得にくい
インド株市場は新興市場として成長が期待される一方で、投資家にとって大きな課題の一つが情報の入手難易度です。
米国株や日本株などの成熟した市場と比較すると、インド株に関する情報の量や質は十分ではなく、正確な投資判断を下すためのデータが限られていることが多いです。
これは、投資家が適切な判断を行う際に重要な、企業の財務状況や市場動向、経済指標などにアクセスしにくいことを意味します。
また、新興市場特有の問題として、情報の透明性や信頼性に対する懸念も挙げられます。
企業の財務報告が遅れたり、不正確な情報が流れるリスクがあるため、しっかりとした調査が必要です。
このような背景から、インド株市場に投資する際は、情報源の信頼性を慎重に見極めることが重要であり、十分なリサーチを行わない場合、リスクが高まる可能性があります。
インド株はやめとけと考えるのは誤り
リスクの高いインド株ですが、多くのメリットがあるので投資を検討すると良いでしょう。
インド株に投資するメリットは以下の6つ。
- 人口世界一
- GDPが世界3位になる
- 株式市場が右肩上がり
- 為替差損を踏まえても高い成果
- 内需が大きい
- 人口ボーナス期が2055年まで続く
①人口世界一
2023年にインドの人口は世界一となり、人口の多さは経済の成長に直結する要素の一つです。
人口が増えれば、労働力が豊富になるだけでなく、消費市場も拡大し、国内の需要が増加します。
これにより、企業はより多くの製品やサービスを提供し、結果的に経済活動が活性化されます。
さらに、国連の推計によると、インドの人口は2063年にピークを迎え、16.97億人に達する見込みです。
この長期的な人口増加により、インドは今後も持続的な経済成長が期待される市場として注目されています。
②GDPが世界3位になる
GDP(国内総生産)は、国の経済活動の規模を示す重要な指標です。
現在、インドは世界で5番目の経済規模を誇りますが、今後数年でさらなる成長が予想されています。
2025年にはドイツを抜いて世界4位に、そして2027年には日本を超え、世界第3位の経済大国になる見込みです。
インドが世界第3位の経済大国になることは、インド株市場にも大きな影響を与え、投資機会がさらに広がることが期待されます。
③株式市場が右肩上がり
インドの株式市場は、急速な人口増加と高い経済成長率を背景に、着実に成長を続けています。
特に、インドを代表する株価指数であるSENSEXとNifty50は、これらの要因による市場の活況を反映しており、そのチャートはインド市場の力強い上昇トレンドを示しています。
インドを代表する株価指数であるSENSEXとNifty50のチャートは以下のとおりです。
また、インドの株価指数は日本、中国、米国と比較しても圧倒的な上昇率を記録しています。
この高い成長率は、膨大な消費者層の拡大、そして急増する中間層によって支えられています。
これらの要因が相まって、インドの株式市場は今後も引き続き上昇する可能性が高いでしょう。
インド株はリスクが高いですが、大きく成長しています。
④為替差損を踏まえても高い成果
以下のグラフは、2003年1月~2023年1月に100万円投資した場合のシミュレーションです。
(円ベースなので為替差損が加味されています。)
為替差損とは?
為替差損とは、外貨建ての資産を保有している場合に生じる損失のことです。
たとえば、日本円で運用される投資信託が米ドル建ての株式を保有している場合、円ドルの為替レートの変動によって、円換算価値が変動します。
円高の場合は株式の円換算価値は減少し、投資信託の評価額が減少するため、為替差損が生じます。
一方、円安の場合は株式の円換算価値が増加するため、為替差益が発生します。
このシミュレーションには為替差損も考慮されていますが、それにもかかわらずインド株は顕著な成長を見せていることがわかります。
この成長は、インド市場の強さと、投資環境の改善が反映されていることを示しています。
また、インド政府はインフレ抑制に向けた取り組みを強化しており、金利の引き上げや貿易赤字の改善などが進められています。
これらの政策は、ルピーの価値を安定させるための重要な手段となっており、経済の健全な成長を支える役割を果たしています。
金利の調整や貿易政策の見直しは、インフレ圧力を和らげ、ルピーの購買力を維持するために不可欠です。
これにより、インドの投資環境はより安定し、長期的な成長が期待されます。
⑤内需が大きい
インドは内需が非常に大きく、外需は全体の21.5%程度にとどまっています。
内需が大きい国では、国内での消費が活発であるため、世界経済の変動や外部の影響を比較的受けにくいという利点があります。
たとえば、2022年には多くの国々で株価指数が下落するという厳しい状況が見られましたが、インドの株価指数はこれとは対照的に上昇を続けました。
これは、インドの経済が外需に依存する度合いが低く、国内市場の強さによって支えられているためです。
インド国内には、膨大な消費者層と急増する中間層が存在しており、これが安定した経済成長を促進しています。
また、インド政府の経済政策も国内需要の強化を目指しており、これがインド経済の持続的な成長を支える一因となっています。
こうした要因により、インドは世界経済の波乱の中でも比較的安定した成長を遂げることができているのです。
⑥人口ボーナス期が2055年まで続く
経済成長と最も密接に関係しているのは人口であり、人口が多いとその分だけ雇用やモノの需要が増え、経済活動が活発に行われます。
インドの生産年齢人口(15~64歳までの労働力として経済活動に参加する人口)のピークは2044年に9.75億人に達する見込みです。
さらに、インドの人口ボーナス期(生産年齢人口が他の人口の2倍以上の規模になる時期)は2055年まで続くことが予想されています。
人口ボーナス期 | 株価上昇 | |
日本 | 1965〜2002年 | 8.5倍(1964年~2002年) |
中国 | 1995〜2030年 | 5.4倍(1994年~2022年9月) |
インド | 2020〜2055年 | 1.6倍(2019年~2022年9月) |
この大規模な生産年齢人口の増加は、インド経済にとって極めて重要な要素で、豊富な労働力は幅広い産業において競争力を高め、国内外の企業にとってインドは魅力的な生産拠点となります。
特に、インド政府が推進する「メイク・イン・インディア」政策により、国内外の企業が製造業の拡大に力を入れ、さらなる雇用創出と経済成長が期待されています。
また、若い労働力は技術革新や起業活動を促進し、インドはすでにIT産業やスタートアップシーンで世界的に注目されており、若年層の活躍がこれらの分野の発展をさらに加速させるでしょう。
さらに、消費面でも生産年齢人口の増加は重要な意味を持ち、この層が経済的に安定して購買力を持つことで、国内市場は今後ますます拡大する見通しです。
インドの生産年齢人口の拡大は、持続的な経済成長を支える大きな要因となっており、インド株市場にも長期的な成長が期待されます。
インドの人口ボーナス期は始まったばかりであり、今後20〜30年は高い経済成長を継続する可能性が高いでしょう。
インド株は割安でも割高でもなく適正
以下のグラフは、2013年8月末〜2023年8月末におけるインド株式指数のPER推移です。
PERとは?
PERとは株価収益率のことであり、株価を企業の一株あたりの利益で割ったものです。
一般的に、PERが低いほど株価が割安であり、PERが高いほど株価が割高と言えます。
- PERが10未満:割安
- PERが10〜20:適正
- PERが20以上:割高
インドの株式市場におけるPERの平均が約20、最新のPERが約20.3であり、これは市場全体が適正な評価を受けていると言える水準です。
PERが20を超えることは、株式が市場で相対的に高く評価されていることを意味しますが、過剰な割高感は見られません。
特に、インド経済の成長性や中長期的な投資先としての魅力を考慮すると、この程度のPERは十分に妥当と考えられます。
また、以下のグラフは2013年8月末〜2023年8月末における過去15年の各国株式指数のPER変動幅です。
この比較において、インドの株式指数は他の主要市場と比べても、割高感が顕著に現れているわけではありません。
具体的には、主要市場のPERが13.8から28.1の範囲に収まっており、インドの20.3という数値は、この範囲内に位置しています。
このことから、インド株は世界の主要市場と比較しても、特段割高とは言えず、安定した評価を受けていると解釈できます。
インド株のリスクを抑えるコツ
コア・サテライト運用を行う
オルカンなどをメインにして、全体の10〜20%ほどインド株を保有するコア・サテライト運用であればおすすめです。
インド株式は、他の国や地域と比べてリターンが顕著に大きい一方で、価格変動リスクも非常に高い水準にあります。
また、インドの代表的な株価指数であるSENSEXはインドの大手30社、Nifty50は50社から構成されますが、銘柄数は少ないと言えます。
そのため、これらの指数に連動するインデックスファンドも分散効果が限定的であり、リスクは依然として高いです。
これに対して、オルカンは、世界中の株式約3,000銘柄から構成され、非常に高い分散性を誇ります。
広範囲にわたる銘柄の組み合わせにより、特定の業種や地域に依存することなく、リスクを分散させることが可能。
このように、インド株のような高リスク投資とオルカンのような分散投資を組み合わせることで、リスクを抑えながらリターンの最大化を図ることができます。
インド株におすすめの組み合わせ
インド株(10〜20%)とオルカン(80〜90%)の組み合わせがおすすめです。
オルカンは三菱UFJアセットマネジメントが運用する「eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)」という投資信託です。
全世界株価指数「ACWI」に連動するインデックスファンドで、先進国(23ヵ国)・新興国(24ヵ国)の株式約3,000銘柄で構成されています。
人気・知名度が高く、「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the year」では5回連続(2019年〜2023年)で第1位に輝いています。
そんなオルカンは、強い国には多く投資して弱い国には少なく投資する「時価総額加重平均」を用いています。
現在は米国が全体の62.3%を占め、日本は5.5%、英国は3.7%となっていますが、新興国がさらに成長すれば比率は大きく変わります。
オルカンとインド株両方持ったら?
インド株を20%、オルカンを80%持つと国・地域の比率は以下のようになります。
国・地域 | 比率 |
米国 | 49.84% |
インド | 21.7% |
日本 | 4.4% |
イギリス | 2.96% |
フランス | 2.32% |
カナダ | 2.32% |
その他 | 9.6% |
新興国 | 8.56% |
オルカンには約1.7%のインド株が含まれており、これは全体の構成比としては比較的少ない数字です。
しかし、ポートフォリオの20%をインド株に割り当てた場合、オルカン内の既存の1.7%を加えることで、全体のインド株比率は21.7%にまで上昇します。
2024年の銘柄入れ替えにより、オルカンに多くのインド株が追加されましたが、依然として全体に占めるインド株の割合は少ないままです。
オルカンに含まれるインド株は経済成長が期待される市場の一部ではあるものの、ポートフォリオ全体に大きな影響を与えるには不十分な比率です。
そのため、インド市場に直接投資することで、インド市場の成長をより積極的に取り込むことができるでしょう。
まとめ
今回は、インド株に投資するリスクや、インド株はやめとけと考えるのは誤りである理由、インド株のリスクを抑えるコツについて解説しました。
- インド株に投資するリスク
- インド株はやめとけと考えるのは誤り
- インド株は割安でも割高でもなく適正
- インド株のリスクを抑えるコツ
インド株への投資にはリスクが伴いますが、それ以上に大きなメリットも期待できるため、検討する価値があります。
ただ、インド市場は成長が見込まれる一方で、価格変動の激しさや政治的リスク、経済環境の不安定さなど、ハイリスク・ハイリターンの性質を持っています。
そのため、リスク分散の観点から、ポートフォリオ全体の1割から2割程度をインド株に割り当てるのが望ましいでしょう。
こうした適度な比率を維持することで、成長の恩恵を享受しつつ、リスクを適切にコントロールすることができます。
なお、インド株に投資するには証券口座を開設する必要があります。
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