オルカンの実質コストはどれくらい?
このような悩みに答えます。
- オルカンの手数料
- オルカンの実質コスト
- オルカンと他の全世界株式の比較
- 投資信託の買い方
- オルカンの実質コストに関するQ&A
投資信託を選ぶ際に、運用コストは無視できない重要な要素です。
特に、オルカンの実質コストを理解することは、長期的な投資成果に大きな影響を与えます。
本記事では、オルカンの実質コストがどれくらいか、またその内訳について詳しく解説します。
オルカンを利用した投資を検討している方は必見です。
なお、オルカンを購入するには証券口座を開設する必要があります。
まだ口座を開設していない方はこれを機に開設しておきましょう。
【おすすめのネット証券】
三井住友カード利用者 | SBI証券 >> SBI証券のメリット・デメリットについて解説 |
楽天カード利用者 | 楽天証券 >> 楽天証券のメリット・デメリットについて解説 |
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オルカンの手数料
交付目論見書とは、投資信託の基本情報(目的、運用方針、手数料など)が記載された文書です。
これは将来の予想に基づいた情報であり、交付目論見書に記載されているオルカンの手数料は以下の通りです。
購入時手数料 | 無料 |
信託財産留保額 | 無料 |
信託報酬 | 0.05775% |
その他 | 0.03% |
購入時手数料
購入時手数料は、投資信託を購入する際に発生する手数料です。
通常、証券会社や銀行などの販売会社を通じて投資信託を購入する際に、投資額に応じた一定の割合の手数料がかかりますが、投資信託の種類や販売会社の方針によって異なります。
オルカンの場合、購入時手数料が無料であるため、この投資信託を購入する際は購入金額の全額がそのまま投資に利用されます。
信託財産留保額
信託財産保留額は、途中で投資信託を抜ける解約料のようなものです。
中途解約にかかるコストのため、投資信託の償還時にはかかりません。
投資信託の償還とは?
運用会社が投資信託の運用が終了し、投資家に資金を返還することです。
投資信託が期限を迎える場合や、投資家が償還を希望し、運用会社がそれに応じる場合に行われます。
たとえば信託財産保留額0.3%の投資信託を1万円で売却したら、30円が差し引かれて9,970円が戻ってきます。
信託報酬
信託報酬は、投資信託の運用中にかかるコストです。
毎日発生し、投資信託の純資産から日割りで引かれる形になります。
例えば、信託報酬が年率1%の投資信託に10万円投資したら、信託報酬は以下のようになります。
【信託報酬が年率1%の投資信託に10万円投資した場合】
- 毎日発生する信託報酬:約3円(1,100÷365+消費税)
- 1年間で発生する信託報酬:約1,100円(10万円×1.0%+消費税)
この額が純資産から差し引かれます。
なお、信託報酬は自動的に差し引かれるため、投資家が直接支払うことはありません。
その他
購入時手数料や信託財産留保額、信託報酬以外の費用は「その他」に分類されます。
【その他に含まれる主な費用】
- 監査法人に支払われるファンドの監査費用
- 有価証券等の売買時に取引した証券会社等に支払われる手数料
- 有価証券等を海外で保管する場合、海外の保管機関に支払われる費用
- 外国株式インデックスマザーファンドおよび新興国株式インデックスマザーファンドの換金に伴う信託財産留保額
- その他信託事務の処理にかかる諸費用
その他の費用は一定ではなく、時期や運用状況、市場の動向によって変動します。
また、その他の費用は「隠れコスト」とも呼ばれ、通常の購入時手数料や信託報酬とは異なり、表立って見えないことが多いです。
そのため、交付目論見書や交付運用報告書といった公式な書類を確認しなければ詳細を把握できない場合があります。
オルカンの実質コスト
オルカンの実質コスト(過去)
交付運用報告書とは、実際の運用結果や経費、パフォーマンスなどが記載された文書です。
これは過去の実績に基づいた情報であり、交付運用報告書に記載されたオルカンの実質コストは以下の通りです。
購入時手数料 | 無料 |
信託財産留保額 | 無料 |
信託報酬 | 0.08% |
その他 | 0.03% |
実質コスト | 0.11% |
交付目論見書では信託報酬は0.05775%と記載されていましたが、交付運用報告書では0.08%と記載されています。
信託報酬が異なる理由は、2023年9月8日にオルカンの信託報酬が0.11330%から0.05775%に変更されたからです。
交付運用報告書の作成対象期間は2023年4月26日~2024年4月25日なので、それぞれの期間の信託報酬を合算すると、0.08%になります。
- 2023年4月26日〜2023年9月7日:0.11330%
- 2023年9月8日〜2024年4月25日:0.05775%
交付運用報告書では信託報酬が0.08%となっていますが、現在の信託報酬は0.05775%であるため、実質コストは0.11%よりも低くなります。
オルカンの現在の実質コストについては後述します。
オルカンの実質コスト(現在)
購入時手数料 | 無料 |
信託財産留保額 | 無料 |
信託報酬 | 0.05775% |
その他 | 0.03% |
実質コスト | 0.08775% |
現在のオルカンの信託報酬が0.05775%である点を踏まえると、実質コストは0.8775%辺りになると思われます。
「その他」の費用に関しては、常に一定とは限らず、時期によって変動することがあるため、0.03%になるとは断定できません。
ただ、大きく変動することは考えにくく、0.03%と仮定しています。
オルカンの手数料シミュレーション
オルカンの実質コストが0.8775%と仮定した場合のシミュレーションは以下のとおり。(消費税は考慮しない)
毎月の積立額 | 月間手数料 | 年間手数料 |
1万円 | 8.775円 | 105.3円 |
2万円 | 17.55円 | 210.6円 |
3万円 | 26.325円 | 315.6円 |
4万円 | 35.1円 | 421.2円 |
5万円 | 43.875円 | 526.5円 |
6万円 | 52.65円 | 631.8円 |
7万円 | 61.425円 | 737.1円 |
8万円 | 70.2円 | 842.4円 |
9万円 | 78.975円 | 947.7円 |
10万円 | 87.75円 | 1,053円 |
15万円 | 131.625円 | 1,579.5円 |
20万円 | 175.5円 | 2,106円 |
25万円 | 219.375円 | 2,632.5円 |
30万円 | 263.25円 | 3,159円 |
毎月の積立額が1万円の場合、年間でかかるコストは約100円程度、もし毎月の積立額が30万円と大きくなった場合でも、年間で発生するコストは約3,000円ほどです。
このわずかなコストで全世界の株式約3,000銘柄に分散投資できることを考えると、非常にコストパフォーマンスが優れていると言えるでしょう。
オルカンと他の投資信託の手数料比較
全世界株式
全世界に投資できる主な投資信託は以下の3つ。
- SBI全世界株式インデックスファンド(雪だるま)
- 楽天全世界株式インデックスファンド(楽天VT)
- 楽天オールカントリー株式インデックスファンド(楽天オルカン)
オルカン | SBI全世界 | 楽天全世界 | 楽天オルカン | |
購入時手数料 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 |
信託財産留保額 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 |
信託報酬 | 0.05775% | 0.0638% | 0.132% | 0.0561% |
その他 | 0.03% | 0.0384% | 0.060% | 不明 |
実質コスト | 0.08775% | 0.1022% | 0.192% | 0.0561%以上 |
手数料は楽天全世界だけが他と比べて高く、信託報酬に関しては楽天オルカンが最安です。
S&P500
S&P500に投資できる主な投資信託は以下の3つ。
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
- SBI・V・S&P500インデックスファンド
- 楽天S&P500インデックスファンド
オルカン | eMAXIS Slim 米国株式 | SBI・V・S&P500 | 楽天S&P500 | |
購入時手数料 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 |
信託財産留保額 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 |
信託報酬 | 0.05775% | 0.09372% | 0.0638% | 0.077% |
その他 | 0.03% | 0.01% | 0.04% | 不明 |
実質コスト | 0.08775% | 0.11% | 0.1038% | 0.77%以上 |
S&P500に投資できる投資信託と比較しても、オルカンの手数料が最安級であることが分かります。
投資信託の買い方
投資信託の買い方は以下のとおり。
- 証券口座を開設する
- 投資信託を積立購入する
①証券口座を開設する
投資信託を購入するには証券口座を開設する必要があります。
多くのネット証券ではNISA口座での取引手数料が無料になったので、使用するクレジットカードによって証券口座を選ぶと良いでしょう。
NISA口座(非課税口座)とは?
証券口座には課税口座(一般口座と特定口座)とNISA口座(非課税口座)があります。
課税口座で投資を行い利益を得たら20%の税金がかかりますが、NISA口座で投資を行えば税金がかかりません。
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楽天カード利用者 | 楽天証券 >> 楽天証券のメリット・デメリットについて解説 |
au PAY カード利用者 | auカブコム証券 >> auカブコム証券のメリット・デメリットについて解説 |
dカードまたは上記3つ以外のカード利用者 | マネックス証券 >> マネックス証券のメリット・デメリットについて解説 |
クレジットカードで積立するとポイントが還元されます。
なお、マネックス証券のポイント還元率は1.1%とトップクラスの還元率を誇ります。
三井住友カードや楽天カード、au PAY カードを持っていない方は、マネックスカードを作成してマネックス証券を利用すると良いでしょう。
②投資信託を積立購入する
証券口座を開設したら投資信託を積立購入します。
つみたて投資枠、成長投資枠とは?
新NISAでは、年間投資枠120万円の「つみたて投資枠」と年間投資枠240万円の「成長投資枠」が設けられています。
つみたて投資枠ではつみたて投資のみ行えますが、成長投資枠では一括投資とつみたて投資の両方が可能です。
そのため、つみたて投資に年間最大360万円あてることもできます。
なお、新NISAにおける非課税保有限度枠は1,800万円であり、最短5年で全ての枠を埋められます。
オルカンの実質コストに関するQ&A
オルカンの実質コストは低い?
オルカンの実質コストは、投資信託の中でも非常に低く抑えられています。
一般的に、投資信託の手数料が0.3%以下であれば優良とされていますが、オルカンの実質コストは約0.1%程度と、さらに低水準です。
他の全世界株式と比較しても、オルカンの実質コストはトップクラスの低さであり、幅広い地域と多様な銘柄に投資する選択肢として非常に優れています。
オルカンの実質コストが下がることはある?
オルカンの信託報酬は、2023年9月8日に0.11330%から0.05775%に引き下げられ、さらに低コストで投資できるようになりました。
一般的に、ファンドに多くの資金が流入して運用規模が大きくなると、コストの引き下げが可能になることがあります。
そのため、将来的にさらに実質コストが下がる可能性は考えられます。
しかし、現在の水準でもオルカンの実質コストは非常に低く、投資家にとっては大きな負担がないレベルに抑えられています。
オルカンの実質コストを下げる方法は?
オルカンの実質コストを直接的に下げる方法は存在しません。
実質コストは、信託報酬やその他の費用が投資家にかかる費用の総額を示すものであり、個々の投資家が直接操作することはできません。
ただ、実質コストを間接的に軽減する方法として、新NISAを活用することが挙げられます。
新NISAを利用することで、オルカンの運用益を非課税で受け取ることができ、通常の課税口座で得られる運用益にかかる税金(約20%)を回避できます。
オルカンの実質コストは複利的に増える?
信託報酬は運用資産額から一定の割合で差し引かれるため、投資信託が成長するほどその信託報酬も増加します。
この効果は資産が増え続ける限り発生するため、長期的には「手数料が複利のように増えている」と感じることがあります。
厳密に言えば、「複利で増える」のではなく「成長に応じて増加する」というのが正しいでしょう。
信託報酬がどのように増加するか、そしてそれが複利のように感じられる理由について、具体例を使って説明します。
【前提条件】
- 年平均リターン:5%
- 信託報酬:0.5%
- 初期投資額:100万円
- 投資期間:10年
【1年目の信託報酬】
- 1年目の運用成績(5%増加):100万円 × 1.05 = 105万円
- 1年目の信託報酬:105万円 × 0.5% = 5,250円
【2年目の信託報酬】
- 2年目の運用成績:105万円 × 1.05 = 110万2,500円
- 2年目の信託報酬:110万2,500円 × 0.5% = 5,512円
【10年目の信託報酬】
- 10年目の資産額:約162万8,895円
- 10年目の信託報酬:162万8,895円 × 0.5% = 8,144円
この例で見るように、資産が増えるごとにその運用コストも少しずつ増えるため、結果的に「信託報酬も複利的に増えている」と感じるわけです。
ただ、実際には信託報酬自体が資産のように複利で増加しているのではなく、資産の成長に応じてその割合分が引かれるための増加です。
手数料が運用成績に及ぼす影響は?
手数料が運用成績に与える影響は、短期的にはあまり感じられないかもしれませんが、長期的には大きな差となります。
例えば、信託報酬が年0.5%と年1.5%投資信託が同じ年平均5%のリターンを上げる場合、20年間の運用後、元本100万円は以下のようになります。
【信託報酬0.5%の投資信託】
- 年間リターン:5% – 0.5% = 4.5%
- 20年後の資産:100万円 × (1 + 0.045)^20 ≈ 241万円
【信託報酬1.5%の投資信託】
- 年間リターン:5% – 1.5% = 3.5%
- 20年後の資産:100万円 × (1 + 0.035)^20 ≈ 199万円
この例からもわかるように、信託報酬が1%違うだけで、20年後には大きな差が生じます。
また、手数料は複利効果にも影響を与え、手数料が低ければ低いほど投資元本が増えます。
交付目論見書の見方は?
交付目論見書とは、投資信託の基本情報(目的、運用方針、手数料など)が記載された文書です。
オルカンの公式サイトにアクセスし、「交付目論見書」をタップします。
そうすると、以下のようなページが表示されます。
上から、購入時手数料や信託財産留保額、信託報酬、その他の費用について記載されています。
運用管理費用に赤字で記載されている数字が信託報酬です。
交付運用報告書の見方は?
交付運用報告書とは、実際の運用結果や経費、パフォーマンスなどが記載された文書です。
オルカンの公式サイトにアクセスし、「交付運用報告書」をタップします。
そうすると、以下のようなページが表示されます。
1万口当たりの費用と総経費率の違いは?
交付運用報告書には、「1万口当たりの費用」と「総経費率」の2つが記載されています。
- 1万口当たりの費用:1万口(通常は1万円相当)の投資信託を保有する際に発生するコストを示したもの
- 総経費率:投資信託の純資産総額に対する年間の費用割合を示したもの
実質コストを判断する際は総経費率を参考にすることをおすすめします。
ここで示される総経費率が実質コストであり、オルカンに投資した場合に負担する全ての手数料となります。
なお、交付運用報告書には実質コスト以外にも多くの情報が記載されています。
【交付運用報告書に記載されている実質コスト以外の情報】
- 基準価格の動き(騰落率):ファンドのパフォーマンスや基準価額の推移
- 基準価格の主な変動要因:なぜそのような結果になったのか、市場環境や運用戦略の観点から解説
- ベンチマークとの差異:ベンチマークと実際の運用成績にどれくらいの差が出ているか
- 今後の運用方針:運用会社が今後どのような戦略で運用していくかの方針
時間に余裕のある方や、オルカンが問題なく運用されているか気になる方は、上記の情報を確認すると良いでしょう。
まとめ
今回はオルカンの実質コストについて解説しました。
- オルカンの手数料
- オルカンの実質コスト
- オルカンと他の全世界株式の比較
- 投資信託の買い方
- オルカンの実質コストに関するQ&A
オルカンの手数料は信託報酬だけでなく、その他の費用も発生し、全てを総合した実質コストは0.11%となっています。
ただし、オルカンの信託報酬と実際の信託報酬が異なる理由は、2023年9月8日に引き下げられたためです。
今後作成される交付運用報告書では信託報酬にズレが生じていない可能性があります。
オルカンに投資する際には、交付目論見書と交付運用報告書をよく確認することが重要です。
なお、オルカンを購入するには証券口座を開設する必要があります。
まだ口座を開設していない方はこれを機に開設しておきましょう。
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